2021年6月8日火曜日

覚え書き: 偶然要因による所得分布の変化という論点

 「成功」、というより「幸福」への条件の一つに、やはり「職業的成熟」というものがあるかもしれない。

小生は、最初に小さな役所で雑用係を始め、その後いまの仕事につながる職業的経験を得たが、一言に職業上の成熟と言っても、『言うは易く、行うは難し』だというのが実感だ。

まずは

器と修行と

この二つが欠かせないことは、誰もが分かる。

しかし、どんなに大きな器であっても、修練を続け、磨き上げなければ、使い物にはならない。そして、器に合った修行を与えうるのは、良い師匠あってこそである。

良い師匠に出会わなければ、決して良い修業はできず、自身が持って生まれた花を開かせることができない。

それだけではない。

良い師匠に出会ったとしても、その時の自分が師匠を受け入れなければ、師匠の話すことを理解できない。修練を続けることができないのだ。

自分の花を育てる良い師匠に、まさに蕾が開こうとする時機に、出会うかどうかは、ただ運のみによるとしか言えない。

もしも職業上の成功と生涯所得とに高い相関があるなら、多くの偶然の重なりで成功は決まるのだから、結果としての所得分布が(高所得層は別として全体的には)対数正規分布に従うのは、理の当然である。

この命題自体は古い結果であるが、次に確認したいのは、時点$T$における所得分布が、時点$T+1$にどのような分布に移行し、その過程で決まる資産分布がどのように変化していくかという問題だろう。

ひょっとすると、もう幾つかの結果は出ているかもしれない。調べてみよう。本日はほんの覚え書きということで。

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