2022年12月14日水曜日

雑感二つ: 同性婚とWEBスキルについて

 1 同性婚

アメリカでは同性婚を選ぶ人の権利保護が制度化された。

【ワシントン=芦塚智子】バイデン米大統領は13日、同性婚の権利を保障する法案に署名し、同法が成立した。バイデン氏はホワイトハウス南庭で開いた署名式で「愛は愛、権利は権利、正義は正義、というのが米国の基本的な理念だ」と強調した。

バイデン氏は「結婚できても、同性愛者であることを理由にレストランを追い出されれば、それは間違っている」と指摘し、職場や公共の場、学校などでのLGBTQ(性的少数者)への差別を禁止する「平等法案」の可決を議会に訴えた。

Source:日本経済新聞、 2022年12月14日 7:37 

リベラルな民主党政権の面目躍如だ。確かに、すべてがダメなわけじゃあない。

日本においても、選ぶ人生がどんな人生であっても、他の人の迷惑にならないのであれば、権利を保護する、差別を禁じる、そんな社会であってほしいと願う。少数者が少数であるが故に、肩身の狭い思いをしながら生きるよう圧力をかけられる。どうみても、こんな社会は改善されなくちゃダメでしょう、と。そう全面的に賛成する。

あとは言葉の定義だと思っている。「婚姻」を人生の伴侶の選択と解釈すれば、どんな人と一緒に生きていくかは、個人個人の自由意志に任せるべきであって、男女一人が「夫婦」となって家庭を設け、生きていかなければならないと、人の生き方を「政府」や「法律」が決める筋合いはない。

一方、「婚姻」を生殖・出産・育児という生物学的な世代交代を促す「社会的安定化システム」と解釈するなら、同性婚を「婚姻」と呼ぶのは正しい言葉づかいではない。

同性婚の権利保護という背後には、一夫一婦という従来型の人生モデルが変容しつつある流れがあるのだと思っている。『人間、そもそもどう生きるかは、当人たちの自由でしょ』という感覚がこのレベルにまで浸透すると、社会の在り方は相当変わっていくと予想される。

将来にかけて、このことがどう社会を変えていくかは、コントロールできまい。戦争と平和もそうだ。望む通りにはコントロールできない。同様に、家庭のあり方、文化のあり方、宗教のあり方は、人、政府、社会の意志を超えて変化していくものである ― 「変化」というより「進化」と呼ぶべきだというのが本来のリベラル的世界観であろう。

そうそう・・・思いついたので将来予測、というより危惧される可能性を一つ:

生物学的世代交代から切り離して婚姻を認めるなら、なにも同性2人に限定する必要はないのではないか。同性3人が婚姻をして家族になることも可能ではないか。一夫多妻制を認める国が現在もある中で、同性3人の婚姻は不可能だという「先験的根拠」はあるのだろうか?あるいは、3人の場合は一人が「夫」、一人が「妻」、3人目は「長子」という風にあくまでも従来型の「核家族」を模したポジションを決めさせて「婚姻」と「子」を同時申請させるのだろうか?…いや、いや、21世紀というのは中々面白い時代になってきたものである。


2 IT技術

カミさんが大手小売り企業のWEBアプリをスマホにインストールし、アカウントを開こうとしたところ、パスワードを設定する段階で1文字打つと

このパスワードは使えません

こんなメッセージが出て、小生に「ちょっと見て」と。

みると、パスワードは半角英数字で、大文字、小文字、数字のすべてを混ぜることと、普通の注意が書かれてある。そこで半角モードにして大文字の"Y"を打つと、果たして

このパスワードは使えません

と出る。

こんなメッセージはあまり見ないネエ。普通は、パスワードは全て半角にしてくださいとか、全角文字は使えませんとか、具体的にユーザーのミスを指摘するんだよね・・・こう言いながら、何度か反復しても、やはり駄目である。パスワードの1文字も受け付けないのは、珍しい。理由も不明だ。

駄目だな、このサイトは。これ以上、つきあう必要はないな。これまでもナシでやって来たんだから、無理に始める必要もないんじゃない?

これで終わりとなった。

この大手企業ばかりではなく、デパート業界、製造業の通販サイトなども含めて、日本国内のWEBサイトは、一般的にセンスが悪くて、作り込みが低レベル、かつ視覚的にも映えないサイトが多い ― この点は多くの人が同感してくれると思う。

どこもかしこもAmazon.comや楽天市場のように使いやすく、かゆい所まで配慮の行き届いたサイトを設計してほしいとは思わない。が、アカウントを開く段階で『駄目だな、このサイトは』と言われてしまうようでは、お先真っ暗と言うべきかもしれない。

理由はただ一つ。ITエンジニアの不足。人材不足にある。ビジネスにおいて目指す成果が得られない場合、その失敗の原因は《四つのM》にある、というのは品質管理の鉄則だ。それはMan(ヒト)、Machine(設備)、Material(資機材)、Method(方法)である。IT化の潮流がグローバル化して既に20年余。ヒト以外に失敗の原因があるならリカバーできる時間が与えられている。今でもダメなのは、ひとえにMan、つまりヒトに原因があるとしか言えない。

話しは変わるが、インドの太陽光発電スタートアップ(より少し成長した後?)に投資してみた。従業員は500人位である。グロース株に投資する時は少額、将来の成長に期待するのが定石だ。高利回り配当株とは採るべき戦略が違う。それでも、やはり投資先の企業は調べた方がよい。それでその企業のWEBページを見てみた。そうすると、結構感性がイイ。まとまっている。

数百人規模の企業でこの出来か

そう感じました。日本企業の現状とは比較にならないのではないか — 名誉のために補足しておくと、日本国内のインフラ投資法人などはどの社も相当いい感性でWEBページを設計していて、垢抜けしている。駄目なのは、日本の従来型の企業である。デパートも低水準、電力会社、ガス会社などは最低だ。鉄道もパッとしない。銀行も総じてパッとしない……。情けないネエ。

ネットというチャネルには期待してこなかったンだねえ・・・20年以上もたってるのに。

「これじゃあ、ダメだ」、そう思います。そんな「タカをくくる」、というか「日本(世界に?)に冠たる」といった傲慢さが災いして、今日の日本経済の迷走を招いたか・・・改めてそう思った次第。

何だか日露戦争でロシア(倒壊寸前のロシア帝国ではあったが)を倒したことに慢心して、その後は劣化につぐ劣化。ついに1940年代には世界の3流に落ちてしまっていた旧・帝国陸軍を連想してしまいます。こりゃ、負けるはずだワ、1990年代末期『第二の敗戦』という言葉には反発を覚えたものだが、その正しかったことをいま気付かされている。


0 件のコメント: