こんな記事がある。
【ヒューストン=花房良祐】米石油大手エクソンモービルは8日、2024年までの3年間で500億ドル(約6兆8000億円)の自社株買いを実施すると発表した。脱炭素の潮流で化石燃料への風当たりが強まるなか、好業績を背景に株主還元を一段と拡充する。増産を急がず株主還元を続ける石油業界に対する米バイデン政権の圧力が高まる可能性もある。
(中略)
空前の好業績を受けて株主還元を強化する動きは石油業界で広がっており、バイデン米政権は「自社株買いや配当よりも増産投資をすべきだ」と批判を繰り返している。こうした意向に沿わないエクソンへの風当たりが強まる可能性もある。
一方、エクソンは23年に、設備投資に230億~250億ドルを投じる計画で、22年の220億ドルからの増加幅は限られる。27年までは毎年200億~250億ドルを計画している。上流部門への投資の約7割は①南部テキサス州などのシェール開発②南米の深海油田③世界各地の液化天然ガス(LNG)プロジェクト――にあてる。収益性の高い事業に集中し、純利益を27年までに19年の2倍にする計画だ。
低炭素事業への投資も進める。27年までに従来計画比15%増の170億ドルを投資し、水素や二酸化炭素の回収・貯留(CCS)などを事業の柱に育てる。
従業員の待遇も改善する見込み。ブルームバーグ通信は7日、エクソンが従業員の給与を平均9%引き上げると報じた。足元の物価上昇率を上回る増加率で従業員に報いる。
URL: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08EH90Y2A201C2000000/
Source:日本経済新聞、2022年12月9日 6:44 (2022年12月9日 9:19更新)
石油企業の増産投資が不十分だと憤慨するのは米・民主党政権の脱炭素方針に矛盾している。なぜ矛盾していることを今は言っているかといえば、足元のエネルギー不安が政権基盤を揺るがしているからだ。だから増産投資をもっとしてほしい、というわけだが、全体が矛盾した話しだ。
そもそもアメリカは《自由・民主主義・法に基づく支配》という価値を共有しているかどうかで世界を2分類するという外交を進めている。自由であれば、経済システムは市場メカニズムを信頼するという原則を選ぶはずだ。とすれば、企業の設備投資、消費者の購入選択も各主体が自由に意思決定するというのが原則になる理屈だ。
それが《一民間企業の資本計画・投資計画》にまで口を出すとはネエ……、この辺が、自由社会を志向しているのか、政府主導の計画経済を志向しているのか、いわゆるリベラル派経済政策の基本姿勢がよく分からないところで、何だか独善的でいかがわしい、と。
若い頃は、知的誠実さに共感を感じていたものだが、年齢を重ねるに従って化粧の魅力が剥がれ落ちるように失望してきた、というのが「リベラル」という言葉をどう思うかという点に関する自分史である。
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