2023年8月16日水曜日

断想: 「カネは天下のまわりもの」、初歩的な常識ですぜ

 本ブログでも理屈にならない理屈の典型として

公費は「私たちの税金」ですよネ

こういう言い回しを挙げている。

現在の日本では(何度か投稿しているように)既に事実認識としても間違いなのであるが、それを差し置いても、これまた先日も投稿した「イカにももっともらしい」、「少し考えると雑すぎる」言い方の好例なのである。


昔は(というほどの昔でもないと思うが)例えば汚職をした役人に対して、イエローなマスコミが「税金泥棒」と罵声を浴びせたりしていたものだ。

しかし、ある程度まじめな記事や番組の中で(例えば)「国立大学の研究費は私たちの税金なわけですから…」とか、これに類したコメントを真面目に言うなど、ちょっと記憶にないのだな。

聞いたり、目に入るようになったのは最近である。そして中々減る様子がない。


この伝で言うと、京都大学で学び、大阪大学、京都大学で研究をつづけた湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞したのは「私たちの税金」のお陰である。というより、ノーベル賞級の研究には大体が公費が入っているから、日本人が授与されたノーベル賞はほぼ全て「私たちの税金のお陰」である……

まあ、そんな理屈になるのだが、このレベルの世迷言を語る日本人は(幸にしてまだ)出現してはいないようだ。

数日前にも書いたが

国民の税金を受領するほどの権力をもっている個人は日本には一人もいない。税金は年貢や小作料とは違いますゾエ。

納税に対して収税権限をもつのは国税庁、もしくは都道府県、市町村である。そこで勤務する公務員が受領するのは「給与」であって「税」ではない。それは、〇〇市の公共事業の請負業者が受領するカネが「税」ではなく「売上収入」であるのと同じことだ。

これが分からないほど理解力が劣化しているとは想像できない。

単純な事実だと思うが……

もし理解できないとすると変な話になる。

例えば小生が暮らしている北海道で電力を供給している北海道電力がある。北電に勤務する社員がもらう給料は元々は私たちが払う電気料金である。

私たちが払う電気料金のお陰で、北電社員の家族は家族旅行を楽しめるわけだ。旅行先ではしゃぎ回ってSNSに写真をアップするなど、ホント腹がたつ、家族を遊ばせるために私たちは高い電気料金を払っているわけではない……世間ではいまこれと同じ話をしている。


話しは続く。北電が火力発電に使用する重油を購入するカネ。元々は私たちの電気料金だ。それが石油会社に払われている。だから石油会社に勤務する職員も私たちに感謝するべきだ。元々は私たちのカネだったのだから。

まだ続く。石油会社の社員の奥さんがスーパーで購入する食料品の代金。元々は北電からもらったカネで、そのカネは元々「電気料金」だった。それをスーパーに払っている。私たちが払った電気料金でレジを打つパートの人の生活が成り立っている。感謝してほしいネエ、家族で旅行に行ってハシャグなんてとんでもない……

キリがないことに時間をかけてもバカバカしいからもう止めよう。

要するに

カネは天下のまわりもの

こんな簡単な道理は、江戸時代、学校に行ってない長屋の熊さん、八つぁんだって分かってましたゼ。


公費は確かに税金だ。その税金は納税者のAさんが納めたカネだ。しかし、Aさん、そのカネは誰からもらったの?ひょっとして道路工事や何かで国や自治体からもらったんじゃないの?

『そのカネ、もともと誰のカネやった思うとるネン』と威張るのは、バカにまかせておきましょう。

【加筆】2023-08-17

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