米国の対ウクライナ軍事支援に関して日経が以下の報道をしている:
ロシアが侵攻を始めてから1年半近くがたち、ウクライナ支援を支持してきた米世論に変化の兆しが出ている。
米CNNテレビが7月1〜31日に実施した世論調査によると、全体の55%が議会はウクライナ支援の追加予算を承認すべきでないと答えた。「すでに十分な支援をしている」との回答が51%、「もっとすべきだ」は48%だった。侵攻直後の22年2月下旬の調査では「もっと支援すべきだ」は62%だった。
党派別にみると、より顕著になる。共和支持層の71%が「追加の資金供与を認めるべきではない」と答え、「認めるべきだ」の28%を上回った。民主支持層は62%が追加支援を支持し、38%が認めるべきでないと主張した。
明らかに民主党支持層と共和党支持層ではウクライナ軍事支援の積極度において大きな違いがある。 もはや「米国内世論」なる世論はないといえる情勢だ。
ところが上の日経報道の結論は
世論の変化は24年11月の大統領選にも響くおそれがある。選挙をにらんで与野党が内向き志向に傾けば、ロシアを利する結果になりかねない。
Source:2023年8月11日 7:33
URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10DB90Q3A810C2000000/
こんな結びになっている。
「ロシアを利する結果になりかねない」と、日本がまるで西側諸国を代表するかのように、心配してさしあげる義理はあるのかと思ってしまいました。まるで「上様」にご注進する「家老」のようではないか。無様である。
支援金額では突出しているもののアメリカが対ロシア急先鋒(?)であった印象は薄く、当のアメリカでも今回のロシアの行動を招いた遠因としてNATOの拡大戦略を指摘する人物がいる位だ。ウクライナ軍事支援に消極的な意見は、アメリカ国内でも「世論を忖度することなく」平気で発表されている。実に健全な民主主義社会ではないか。
世界的に広がりつつある潮の流れは、
ロシアを勝たせる、ウクライナを勝たせるのいずれでもなく、両者の痛み分けとする停戦案は何か?
つまりは、日本の自民党が得意とする《落としどころ》を探っているのが現状ではないだろうか?
日本は今でも「ウクライナを勝たせるための努力」を喜んで続ける意思を持っているのだろうか?
非常に疑問である。
多分、アメリカも含めて、ジョンソン首相が去った後のイギリス、それにドイツ、フランス、イタリア辺りは当然のこと、今後来年にかけて
戦争をしかけ、戦争に応じたロシア、ウクライナはもちろん、軍事支援を続けた西側諸国を入れて、《三方一両損》のような停戦を目指す
そんな機運が醸成されてくるのではないかと予想している。そうなって行くとしても「今の世界は非合理的である」という思考法は極めて危険である。「三方痛み分け」で戦争を止める。そうした世界的潮流が勢いを増せば、それでも勝利を目指してあくまでも継戦しようと主張する人物は排除されるとしても、それは自然な成り行きだ。時勢に抗う人間は時勢によって排除される定めにあることは誰でも知っている。
曲がり角である。
とにかく、アメリカもロシアも来年は選挙の年なのだ。最初に投稿したが、プーチンさん、バイデンさん、お二人とも選挙のことが心配でやった事なんでしょ、という見方は小生なにも変えていない。
勝者なき戦争。つまりは勝敗という点では「引き分け」ということだが、ロシアも損をし、ウクライナも損をする。双方がどれだけのことを諦めるか。ここが最大のポイントになると予想する。西側諸国は既に莫大な金額を支出し、それが報われないという損失がほぼ確定している。ドイツをみよ。失ったものは大きく惨憺たるものではないか。
この損失を招いた主たる要因は、バイデン政権の対ロシア外交、対ウクライナ外交(さらに対中外交も?)がそれだけ拙劣であったのだという批判は、今回の戦争が停戦に至った後で噴出してくるに違いない。
ま、頭の体操という程度の個人的予想ということで。
【加筆】2023-08-12
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