2025年2月7日金曜日

ホンノ一言: 『ブラックボックス・ダイアリーズ』のアカデミー賞ノミネートが伝えられないのは何故だろう?

 元ジャニーズ事務所所属のアイドル・中居某がひき起こしたセックス・スキャンダルは、いまや事件の舞台を提供した(と推察されている)フジテレビという企業そのものの存続さえ危ぶまれる事態を招いてしまった。

2025年という年が明ける時に、こんな事態が出来するとは、一体だれが予想出来ていただろう?

昨年末の女性週刊誌報道があってから、曖昧な不安が周囲の人物の胸には去来していたであろうが・・・。

この事件、本来は経済誌であるイギリスのThe Economistでも報道されている。その中に、こんな下りがある:

Japan’s #MeToo movement has been “building up slowly”, says Miura Mari of Sophia University in Tokyo. In 2017 Ito Shiori, a freelance journalist, accused a reporter and the biographer of then-prime minister Abe Shinzo, of rape. Her criminal case was dismissed, but she won damages in a civil lawsuit. “Black Box Diaries”, her film chronicling the episode, became the first Japanese documentary to be nominated for an Oscar last month (though there is no release date for it in Japan). Her case proved controversial and sparked nationwide conversations. According to surveys, only 5-10% of people report assaults to the police in Japan, compared with 23% in America. Demonstrations also started in 2019 after four rape acquittals were handed down by the courts in quick succession.

Source: The Economist

Date: Feb 6th 2025

URL: https://www.economist.com/asia/2025/02/06/japan-could-finally-face-its-own-metoo-crisis

例によって、Google翻訳で和訳した日本文をコピーしておこう:

 日本の#MeToo運動は「ゆっくりと高まっている」と上智大学の三浦真理氏は言う。2017年、フリーランスジャーナリストの伊藤詩織氏は、当時の安倍晋三首相の伝記作家で記者をレイプで告発した。彼女の刑事訴訟は却下されたが、民事訴訟で損害賠償を勝ち取った。その出来事を記録した彼女の映画「ブラックボックスダイアリーズ」は、先月、日本のドキュメンタリー映画として初めてア​​カデミー賞にノミネートされた(ただし、日本での公開日はまだ決まっていない)。彼女の事件は物議を醸し、全国的な議論を巻き起こした。調査によると、日本で警察に暴行を通報する人はわずか5~10%であるのに対し、米国では23%である。2019年には、裁判所が4件のレイプ無罪判決を立て続けに下したことを受けて、デモも始まった。

日本語として少し可笑しな箇所も散見される。が、十分使えるレベルだ。メディア界で言語の壁が消失しつつあるのは、日本人にとって大変素晴らしい事だと思う。

下線を引いた部分は、安倍元首相と親しかったTBS政治部記者・山口某が起こした性犯罪の事である。この事件の顛末を調べ上げるプロセスを記録したドキュメンタリー映画が『ブラックボックス・ダイアリーズ』で、「先月、日本のドキュメンタリー映画として初めてア​​カデミー賞にノミネートされた」とThe Economistは紹介しているわけだ。ところが、「日本での公開日はまだ決まっていない」とも付け加えている。

真田広之主演で昨秋にエミー賞を受賞した『SHOGUN 将軍』は、日本国内のテレビ局でも大々的に報道したが、伊藤氏の『ブラックボックス・ダイアリーズ』のアカデミー賞ノミネートは、国内TVのニュース番組は見切りをつけて最近はほとんど視ないのだが、TV画面で話題になっているのを視たことがない。

この件については、TV業界で《緘口令》が布かれているのではないかと邪推したい位だ。

だとすると、こんな情況も、世界からみれば

日本には報道の自由がない

そんな風に低評価されてしまうのは「ムベなるかな」である。


・・・こんな体たらくでは、高付加価値・知的サービスを軸とする「第三次産業主導型の経済成長」など、日本にとって「夢のまた夢」というところだろう。


2025年2月3日月曜日

ホンノ一言: トランプ大統領の「関税率引き上げ戦略」について

今年は、昨日の2日が節分で、今日3日が立春であると、TVニュースを視ていて知ったから、随分呑気な話しである。

年若な時には、自分の年の数だけ大豆豆を食して悦に入ったものだが、北海道に来ると撒くのが落花生であると聞いて、ヤル気をなくした。で、節分になっても何も撒かないまま長年月がたった。

トランプ大統領の関税戦略が展開され始めた所である。

自由貿易を否定して、関税率を引き上げるという政策に賛同する経済学者はいない(はずだ)。とはいうものの、小生の元同僚の一人は

雇用など特定のマクロ的状態においては関税政策が有効であるケースもあるのかどうか?

こんな問題意識で考えてみたいとSNSに投稿している。

小生も、

いかなる場合にも関税率引き上げは推奨できない、と確言は出来ない

そんな気はする。だから考察に値する問題だと思う。


理性とは無縁の、現時点の常識や価値観のみから「自由貿易否定イコール愚かな政策」と主張する態度には賛成できない。

トランプ大統領の政治的嗅覚が、今回は的を射るか?

正統派経済学者の標準的理論が現在でも正しいか?

そういう事だろう。

これまでの常識で、条件反射的な反発をメディア各社が声高に叫ぶのは、この際は控えておいた方が「国益」にはかないそうだ。経済学者の議論をまず聴くべきである、聴くと同時にメディア側も議論の要点を理解するべきだと思う。不勉強なメディアは社会の害毒だ。

そもそもケインズ革命に火をつけた1930年代のケインズその人も『一般理論』刊行当時は《異端派のインフレーショニスト》として鳴らしたものである。