世間の議論は東電一社を超えて発送電分離に至りつつある。ダイアモンド・オンラインの
電力草創期の自由競争体制から電力国家管理、戦争を経て民営化・地域独占の確立。歴史を遡って今回の発送電分離論を考えており、中々読ませる。
<市場>というのは、買って恩恵を受ける顧客と、売って生計を立てている生産関係者からできている。どちらに目線が偏っても、世の中運営できない。電力市場も同じことだ。電力企業の利益に偏っても、電力使用者の利益に偏っても(そりゃ安いほうがいいですから)、問題解決には失敗する理屈だ。
その解決策をさぐる議論だが、政府内にやたらと会議が設けられている。これは民主的なやり方なのだろうか?審議会の活用なら中央官庁だってお手の物だ。その議論はこれまたダイアモンド・オンラインがやっている。
国会も会期末を控え来週は政局ウィークになるという。識者(というのは専門家のことかと思ったりもするが)によれば、菅総理の退陣確率は40%だそうである。
この記事は5月17日時点の憶測だから、今日現在ではもっと現首相の先行きは危うくなっているのだろう。一体、復興構想基本会議やら、首相官邸内にできた数多の会議はどうなるのだろう。委員に引っ張り出された人たちも、このさき立ち枯れてしまえば、くたびれもうけではないか。それこそ保障してもらいたい心理ではあると推察する。審議会などと逃げを打たず、政府の責任として構想を作ったらいいと思う。
このように国内だけでドタバタ劇を繰り返していると、またまたガラパゴス化症候群が発症してしまい、そこでまた本質論を忘れた対処策が会議の話題になるのだろう。
話しを戻す。発送電分離論は、新エネルギー開発事業を日本で進めていくには大変適切、というか不可欠ではないか、と小生も考えている。大体、一般的に言って、地域独占企業がベンチャーやイノベーションに積極的に取り組むという可能性は小生はほぼゼロだと見ている。そんな動機はないですから。
それにつけても「やっぱり餅は餅屋だねえ」と感じたのは、ソフトバンクの孫社長。彼の人が設立した新エネルギー財団と自然エネルギー協議会での議論。事業スタート時点で、休耕田・耕作放棄地の2割に太陽光パネルを敷き詰めるだけで原発50基分の電力が生まれるというのは、プロモーションとしての訴求力抜群ですわな。小生は日本でソーラーバブルが起こる可能性すら連想した。もしもこの文脈でソーラーバブルが発生したら、必ず世界中で観察されている農地バブルが日本でも伴ってくるだろう。
おりから朝日新聞では
23日の参院行政監視委員会に、原発に批判的な専門家や自然エネルギー推進を唱える4氏が参考人として出席した。生中継した動画配信サイト「ユーストリーム」では4万2千人余りが視聴した。
東京電力福島第一原発事故への政府の対応や、これまでの日本のエネルギー行政について意見を聴くため委員会が出席を求めた。
「自然エネルギー財団」の発足を先月表明したソフトバンクの孫正義社長は、休耕田や耕作放棄地に太陽光パネルを設置する「電田(でんでん)プロジェクト」を提案。地震による「原発震災」を1997年に警告した石橋克彦・神戸大名誉教授は、委員から「浜岡原発の次に止めた方がいいと思う原発は」と問われ、大地震の空白域にあたるとして「心配なのは若狭湾地域だ」と答えた。(出所:Asahi.com、2011年5月23日22時38分)
という報道もされており、浜岡原発に続いて若狭湾も<危ない視>されるようになっている。本当に、これでは原発でエネルギーを得るという路線は、ハードではなくソフト的な理由で不可能になってきた。何事によらず、事業の成否は、市場の選択、ターゲットの選択、投資戦略の実行時期の選択、そしてプロモーションが握る。だから日本のエネルギー市場は面白くなってきた。3月10日までとは様変わりだ。ただ孫社長の提案については経済学者から以下のような指摘もある。
経済学者にとっても、経営学者にとっても、また政治学者にとっても目が離せない展開になるのが2011年の日本だ。
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