2011年5月18日水曜日

民間設備投資は相当の増加になる

大震災と原発でマイナス思考ばかりの世の中になっているが、信じられないほどの数字が経済活動から出てきてもいる。

それは民間設備投資だ。

先日、内閣府から公表された「機械受注統計」だが、これは3~4か月先の資本財の荷動きを教えてくれるデータだ。中でも船舶や電力関係を除いた部分が景気指標としては使われているのだが、1~3月で3.5%増加、4~6月の見通しで10%の増加になっている。

また今日の新聞には工作機械受注について業界統計が報道されていた。工作機械はマシニングセンターなど機械を作る機械のことである。これが動くと、息の長い設備投資ブームが近づいていることが見てとれる。4月の受注が前年比で何と32.3%の増加!輸出もさることながら、震災で壊れた機械を新調するための発注が相当増えているそうである。

IHIは復旧の目途が立たないと言われていた福島相馬第一・第二工場の一部操業を再開した。半導体のルネサスも生産停止中の那珂工場(茨城県)の供給能力を6月から毎月2割ずつ上げていく予定とのことだ。民間企業の震災対応は相当速いペースで進んでいるようだ。

今度の東日本大震災でどれほどの資本設備が失われたのか?

その範囲は農林水産業関係から製造業、流通、サービス業、更には社会資本まで全てに渡るが、おそらく数%ないし1割位の損壊率になるのではないか。もしも資本設備で生産能力が決まるのであれば、国内の供給能力も数%の桁数で低下しているはずである。その分、国内市場に回る商品は減り、稼働率は上がる。日本のデフレの原因の一つとして、低い稼働率の下で顧客を確保するための安値競争があげられた。過剰能力体質がなくなる。

先日は山崎パンが小麦価格上昇を転嫁するために6%の価格引き上げを行うと発表した。今日はフジパンも5%程度の値上げを行うと報道されている。

今年度下期は復興需要が本格的に出てくると予想されている。そのかなりの部分は公共事業である。今後心配するべき点は、デフレというよりインフレの方かもしれない。

何しろ空前の金融緩和が10年以上続いているのである。デフレマインドは単なる心理だから消えるときは一瞬である。インフレを見込んで市中の金利が上がったり、国債価格がするすると下がる日は意外に近いかもしれない。

金利が上がったり、物価が上昇しはじめたときにどうするか?
うろたえないように経済計画をあらかじめ作っておかないといけない。そんな時代である。


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