2011年10月23日日曜日

日曜日の話し(10/23)

前週の日曜日は岸田劉生だった。そこでみた作品よりも10年前にフランスの画家達はどんな美を表現していたのか。名前だけのことなら、キュービズム、フォービズム、抽象派などなど、色々な名称を挙げられる。いかにも分裂してきているようだが、全体としてみると、フランス人の芸術からはフランスを感じる。これは明確な事実だ。同じように、日本人の芸術からは日本を感じてほしいし、小生の専門分野である統計学であっても、日本人の書いた研究論文からは、いかにも日本人的な感性を感じるようであってほしい。ロシア人スミルノフの書いた数学教科書「高等数学教程」からは、ロシア的感性とはこういうものかがわかるし、ケインズの「一般理論」はイギリスの香りがつけられている。ケインズはマルクスのようなドイツ人ではないし、フリードマンのようなアメリカ人ではないようだ。

しかし、今日は住職が宅に来て毎月の読経をして帰る日であったせいなのかもしれないが、前にもとりあげたルドンの別の絵をみたい。なんだかルドンなのだよね、そんな心持ちなのである。

Redon、The Seashell、1912

実はこの絵に描かれた貝殻と瓜二つの形をしたのをもっている。27か28歳の時、休みをとって真夏の小笠原・父島を訪れた時に、手に入れたものだ。もう30年以上が経ったのか。そう思うと、よくもまあ、まだ手元に残っているものだ。耳に当てると、夢の様な遠い世界から聞こえてくる海鳴りのような音がする。そういえば、今日は北海道地方は風が強くて、宅から出て海を眺めると、白波が目立ち、ドオンドオンという波の音が聞こえてきた。家がたっている高台から磯辺まで何百メートルの距離があるのか、海の音はずいぶん遠くまで響くものである。

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