2019年3月11日月曜日

山高キガ故ニ貴トカラズ、内閣永キガ故ニ貴カラズ

安倍総理三選の目はないと小生は予測していた。ところが昨年の秋、何事もなく三選された。四選は絶対にないと考えている。しかし、四選で問題なしという発言が与党議員からは既に出ている。

この世の一寸先は闇だということは心得ているが、まさに何が起こるか正確に予測できる人間など一人もいない。結果として予測を的中させる人は偶然の賜物であり、宝くじ、というと可哀想か、競馬で優勝馬をあてるのと似ている。

しかし、安倍内閣の下で何か懸案が解決されたことがあるだろうか?

「共謀罪新設」、「集団的自衛権行使に関する憲法解釈変更」はまだ記憶に鮮明である。アベノミクスの効果については、まだ経済学界で議論があるようだが、あれは首相自らの政策と言うより、日銀の黒田現総裁の見解に基づく側面が大である。総じて、現内閣にマクロの経済安定化政策、成長政策、産業政策等々について精通し、官僚から一目置かれているような御仁は乏しい、というかいないのではあるまいか。TPP11はそれなりの成果である。EUと締結できたEPAも今後プラスの効果を発揮するだろう。要約すれば、自由主義・規制緩和・自由貿易を主たる方向として経済政策は進められている。移民政策もそうである。GAFAに対する公正取引委員会の新たな姿勢もそうである。

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ただ、どうなのだろうなあ……

経済政策で立案され実行されている政策は、ほとんどが官僚組織から上がってきた原案を首相官邸が調整して、それをトップ段階で了解し、実行している(だけである)ようにも見える。まあ、経済政策なんてそんなものですよ、と言えばその通りなのだが。

沖縄の辺野古埋め立ては、このまま単純に既定路線を押し通せば、色々な問題が後に残るのではあるまいか。韓国の慰安婦、徴用工判決など対韓国外交も理屈は日本に言い分があるが、相手にも言いたいことはあるだろう。相手が敵対行為に出れば断固報復するという原理原則で構わないとは日本人の多くは思ってないのじゃないか。

そもそも消費税率引き上げも2017年4月から予定通り実施しておいて問題はなかったろう。これは決して後知恵ではない。経済データを吟味すれば判断できたことである。

対ロシア外交、対北朝鮮外交(というものがあるならばだが)などもある。何より日本のエネルギー計画をどうするのか。原子力発電のポジショニングはどうするのかも大問題で、これには緊急性がある。大体、太陽光発電で電力供給を増やして、電気自動車(EV)を増やせるのか?

EV化って…電気、ホントに足りるんですかい?それとも水素自動車で電気はもう使わないつもりですかい?

こんな大事な話、全然、話しもしていないのなら、極めて心配である。

総裁任期の残り2年余、ひたすら憲法改正に人生をかけ、後の課題は次世代送りというのでは次の人が迷惑だろう。

大きな変化は起こすのではなく、起きるものである。人間に出来ることは、起きるべき変化を邪魔しないようにするだけである。日本の社会が憲法を改正して、何か新しい社会を目指そうとしているのか、これを察するには尋常ならざる政治的デリカシーが要る。そんなデリカシーを安倍・現首相から感じたことは一度もない。特徴的な固有の鈍感さを感じることはあっても、感性としてのデリカシーを感じることはないのだ。

なので、予測しておきたい。

現首相の任期内に憲法改正原案が発議されることはない。
これから2、3年は政治的レガシーを残せる時代ではなく、巨大ではないが、それなりに重要な緊急性のある問題に解答を出すべき時代だ。そう思うのだ、な。


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