2019年3月28日木曜日

一言メモ: 「制裁」するにしても「粗暴」は最低である

日韓関係の悪化が進み、韓国に対する「経済制裁」が大っぴらに議論されるようになってきている。

ところが、それを一瞥すると、「国交断絶」、「大使召還」などと極端な言葉から始まり、更には「重要素材・部品禁輸」、韓国製品の「関税率引き上げ」、「ビザ免除停止」等々、どれもこれも「ハード」で大衆受けのする可視的手段ばかりである。

極めて幼稚であり、愚かである。

野球で言えば、相手投手がビーンボールを投げてきたから、今度は一塁走者が二塁手に危険なスチールをするようなものである。

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思うのだが、「禁輸」などをする必要性はない。「値上げ」をするだけで十分なはずである。あるいは契約交渉に時間をかけるだけでもよい。交渉上の優位があればそれを行使すればよい。相手国が提訴してくれば、事態が長引き、かつ複雑化され、交渉材料が一つ追加される。交渉材料の増加は、日本側にとってプラスだろう。

「関税率引き上げ」も必要ではない。税関手続きに時間をかけるだけでよい。

観光訪問先として注意事項を増やすだけでもよい。旅行会社にとってリスクが高まれば、ツアー料金が上がる。それで十分な効果がある。

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日韓関係のリスクの高まりを価格に反映させるだけでよい、というのが基本的な理屈である。非合理な選択をしている側の競争優位が脆弱になるのである ― 韓国側だけではなく、日本側にもまた奇妙な手はあると思っているが。

つまり何事も「当たり前の事」をするだけで経済的には(=経済制裁手段としては)十分な効果をもつ。併せて、競合国に"Favor"を与えるとすれば、一層の効果があろう。

実際に対立している相手国・韓国に可視的な損失を与えたいと望むとしても(本当に日本はそう考えるのか、これ自体が国際関係を考えると不思議であるが)、自らが直接的行為に及ぶ必然性はない。むしろ復仇感情を刺激するのでマイナスである。関係のないオーディエンス(=他の周辺国)にとって好ましい利他的な行為を積み重ねることが、特定の相手国に対する間接的攻撃になる。

間接アプローチが戦略的には最適であると思われる。

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