2019年5月28日火曜日

コメント: 消費税率引き上げに関連して

NewsPicksで消費税率引き上げに関するコメントを書いておいた。

こちらにも転載しておく:

この10月の消費税率引き上げが現在の景気動向の下で適切かという議論が試行中だ。
税率引き上げ後、家計が実質消費を削らなければ貯蓄が減って家計のISバランスは悪化する。ISバランスが悪化すれば、貯蓄の取り崩しや債務の増加が進む。家計の財務状況は悪化する。一方、政府は政府消費が一定なら貯蓄が増える。公共投資が同じならISバランスが改善する。ISバランスが改善すれば、債務の減少が見込まれる。つまり「財政再建」が進むことになる。
日本全体のISバランスは経常収支に見合う。経常収支は消費税率の引き上げによっては変わらない(としよう)。とすれば、消費税率は日本全体のISバランスを家計、企業、政府の3部門でどのように分け合うかという話になる。
財政が再建されても、家計の財務状況が悪化すれば、元も子もないではないかという議論は常にあるわけだ。
しかし、今回の税率引き上げには、増えた消費税収を社会保障給付の拡大を通してそのまま家計部門に戻しましょうという一面も混ざっている。この一面だけをみると、消費税を多く支払った家計から、支払額の少ない家計へ資金を移転するという作用も(多分)出てくるだろう。
家計部門の中で財務状況悪化が進むよりは、日本の公的部門の財務悪化として一元管理されている方が、同じ「悪化」よりはまだマシかもしれない……。とすれば、あえて消費税率引き上げはしない。巷で噂されているように、日銀の量的緩和がついにインフレにつながりはじめたとき、そんな時の特効薬として増税はとっておく、こんな選択もあるのかもしれない。
この問題、最近になって色々な理論が出てきているので中々追いつけない。要勉強。

この20年間の日本経済は慢性デフレ状況に陥った際に「政策実験」を実施した1ケースに該当する(とされている)。

その意味でも、信頼性ある経済統計の整備が世界経済の健全な運営のために欠かせない。

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