2019年8月28日水曜日

ドイツの「富裕税」導入検討は眉唾ものか

ドイツが「富裕税」導入を検討しているとのことだ。

[ベルリン 26日 ロイター] - ドイツ連立与党の一角を占める社会民主党(SPD)は、富裕税を導入して税収をインフラ投資などに充てることを目指している。暫定党首の1人であるトルステン・シェーファーギュンベル氏が26日明らかにした。
同氏は記者団に対し、不動産や株式、現金などに1%の富裕税を課すとした作業部会の提案をこの日の党執行委員会で支持したことを明らかにした。
(出所)ロイター、2019年8月27日配信

日本では利子配当など資本所得は20%の分離課税が原則だが、その方が得なら総合課税も選べる(住民税や国民健康保険料にはね返るが)。ドイツでは26.375%である。やはり分離課税で総合課税も選択可となっている。(参考:「主要国の配当課税の概要」及び「主要国の利子課税の概要」

富裕税というとショッキングな言葉で、「私有財産不可侵」原則に反するのではないかとも思われるが、資産評価額に対して1%課税というのは手取りベースの資産利回りを1%だけ抑えることと同じである。5%を4%に、4%なら3%に手取りの利回りが低下するわけだ。まあ、なんてことはない。

「やったらいいんじゃない」とはいうものの、2000万円の資産を税込み利回り5%で回しているとして年間収入は100万円である。税率25%のドイツでは手取り75万円である。それを更に年間20万円を徴税する。手取りは55万円。利回りでいえば、表面5%を課税後3.75%、それを「富裕税」で1%だけ抑えて2.75%にまで引き下げる。こう言ってもよい。ま、相当に厳しい。

しかし、ドイツで検討されている「富裕税」は控除額を高くする予定であり、課税対象資産は200万ユーロ超であるそうだ。円ベースでは概ね2億円余。5%では1千万円。これまでの徴税額250万円に資産額1%を上乗せして450万円。手取りでは550万円。う~ん、確かに利くことはきく。資産が20億円になれば、ゼロが一つ増えて、手取り7500万円が5500万円に減る理屈だ。このレベルになると生活水準にはほとんど影響はなく、毎年の資産増加額が少し抑えられるだけだろう。

やっぱり、分離一律課税ではなく英国のように累進税率にするほうがいいネエ……

「富裕税」という呼び名は多分に大げさである。富裕層を主たる納税層にするのでそう呼ぶのだろう。であれば累進所得税だって富裕税だ。ま、これ以上の資産格差拡大を避けるには有効かもしれない。

シェーファーギュンベル氏によると、SPDの富裕税案は年間最大100億ユーロ(111億4000万ドル)の税収が得られると試算しており、社会的正義や富の再配分といった同党が重視する問題に回帰することで党としての特徴を明確にできるとの狙いもある。
・・・だそうである。税収増1兆円余。かなりの事はできそうである。

(出所)上と同じ。

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