2019年9月12日木曜日

これらは次の時代への「予行演習」なのか?

韓国が来年のパラリンピックで予定されているメダルのデザインに苦情を呈しているらしい。イメージは「扇」で末広がりの瑞兆であるはずなのだが、韓国人は「旭日旗」を連想するらしいのである。これは感性を疑うの一言になる(はず)と思うが、IOCに五輪の場で「旭日旗」を使用禁止するべきであると公式に書簡を送ったという。自国の法制を他国で開催される国際行事に強要する行為でもあるのだが、平和主義=軍国主義批判を旗印にしている分、それなりの論拠はあると考えているようだ。選手団代表の会合で中国も韓国の主張に同調しているというから、どう転んでいくかは分からない。

中韓が連合して日本にプレッシャをかけるのは、即ち第二次世界大戦後のパックス・アメリカーナ(Pax Americana)に中国が挑戦しているから起きることである。そもそも帝国陸海軍を解体した後、日本で警察予備隊を発足させ、旧軍を実質的に復活させる方向に舵を切ったのはGHQであり、独立後に自衛隊となり「旭日旗」を軍旗として再使用するのを容認したのはアメリカである。国交を回復し、戦後処理も一段落したずっと後になって、現時点の軍旗に戦前のイメージを重ねて非難を加えるのは、理屈が通らない。もちろん中韓もそれは分かっている。つまり、それだけ国際環境とパワーバランスが変化したからである。だからこれまでになかった現象が政治力学的に発生する。

要するに、時代は「第二次世界大戦後」から文字通りの「21世紀」に入りつつあるわけだ。ということは、日本もそろそろ「旧敗戦国」として肩身の狭い気持ちを持ち続けなくともよい……というロジックになるが、それを中韓も分かっているので、「歴史」を外交ツールとして使っている。つまり、第二次世界大戦はもはや「歴史」なのである。だからこそ、日本も出来上がった「歴史」の力を甘く見ることなく、「歴史」には「歴史」で対抗する眼力も大事になってくる。

ま、どちらにしても「もはや戦後ではない」と改めて言うべき時代だ。

今後ずっと朝鮮半島の反日姿勢を中国が利用する構図が続くだろう。とすれば、メダルデザイン非難、旭日旗非難、原発汚染水の海洋放出非難、更には元徴用工判決、レーダー照射等々への様々な対応は、すべて次の時代の対アジア外交を進めるための「予行演習」になるのかもしれない。

そういえば法律でメシを食っている息子夫婦が先日帰省したときに話題になったのだが、ゴーン裁判も今後将来に頻発するだろう国際的事案に日本が対応していくための「予行演習」である、と。もしゴーン元会長が生粋のアメリカ人なら今度のような手法で逮捕するなどという度胸は日本政府にはない、中国人社長をいきなり逮捕すればどうなるか。フランスなら丁度練習相手にイイんだよ、と。うまい具合に、ゴーンさん、フランス人か、レバノン人か、ブラジル人か、そこがハッキリしない。だからイイんだ。つまりゴーン裁判は「予行演習」さ。「司法取引」のトレーニングにもなったし、な。そんな話をした。

次の時代に向けて今から予行演習をしておいた方がいいテーマはまだあるかもしれない。いやでも想像しなければならないのは「偶発的な軍事衝突」をどう冷静にさばくか。これも一つの可能性だろう。そろそろ政府内部でも行動プログラムは出来つつあるのではないかと想像している。予行演習はどんな形でやろうとしているのか分からないが。

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