ところが、そのドイツの賠償責任をポーランド首相が改めて言明したというので報道されている:
【ベルリン時事】第2次世界大戦の火ぶたを切ったドイツのポーランド侵攻から、1日で80年。この節目の年に、両国間で戦争賠償をめぐる論争が表面化している。くすぶる戦後処理の問題に、ポーランドのドイツや欧州連合(EU)との距離感の変化が重なり、外交問題として噴出した形だ。
「今日までドイツから大戦中の残虐行為への適切な賠償を受けていない」。ポーランドのモラウィエツキ首相は8月、独紙のインタビューで断言した。正式な請求はしていないが、議会の委員会が1日にも被害額の試算を公表する。地元メディアによると、8500億ドル(約90兆円)との試算が出る可能性もあるという。
独の戦後処理はホロコーストなどナチスの犯罪への個人賠償が中心。各種試算があるが、総額は700億ユーロ(約8兆2000億円)を超えるとみられる。一方、対国家での賠償は不十分との指摘も多い。
(出所)JIJI.COM、2019年9月1日配信
ドイツに対する戦争賠償請求はギリシアも行うことになっている:
【ローマ=共同】ギリシャ議会は17日、第2次大戦中のナチス・ドイツによる占領に伴う損害賠償を、ドイツ政府に正式に要求する方針を可決した。ロイター通信が伝えた。
ギリシャではこれまでにも賠償問題が提起されてきた。ドイツ政府のザイベルト報道官は17日、賠償問題は「法的にも政治的にも解決済み」とする従来の立場を改めて示した。
ロイターによると、今回の決議は具体的な請求額を示していないが、ギリシャ議会の委員会は2016年、被害額は3千億ユーロ(約38兆円)超とする試算を示していた。
(出所)日本経済新聞、2019年4月19日
どちらも天文学的数字である。そして、どちらも請求権協定は未締結であり、ドイツは賠償責任を否定しているようである。
第2次世界大戦の戦後処理は、第1次大戦後の処理を失敗した反省に立って比較的寛大だった。放棄された請求権もあった。敢えて請求を行わなかった国もあった。細かな事実は一冊の本でも書ききれまい。
いずれにせよ『ドイツは誠実に加害責任を反省しているが、日本は責任意識が乏しい』という日独比較論は、ドイツを美化しすぎているのではないか、と。そんな風に感じることは意外と多い。
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