2020年3月10日火曜日

どのタイプの株価大暴落になるか?

昨日のNY株価は2013.76ドルというウォール街史上最大の下げ幅を記録した。下落率でいえば7.79%である。

NY株式市場の歴史に残る株価大暴落としては三つが挙げられている。

  1. 1929年10月の「世界大恐慌」
  2. 1987年10月の「ブラックマンデー」
  3. 2008年9月の「リーマンショック」

この三つである。

1929年の世界大恐慌は何波にも渡って株価大暴落が津波のように押し寄せ、長期低落が底を打った1932年7月の時点でダウ平均株価は29年9月の最高値から90%下落していた。29年10月28日の月曜日の下落率12.8%も、長期低落率90%のいずれも文字通り歴史的である。ダウ平均株価が最高値に戻るまで25年を要した。

1987年10月19日のブラックマンデーは景気回復途上で唐突に発生した大暴落であった。この日のダウ平均の下落率は22.6%で、これはまだなお史上最大の下落率である。14日の取引開始から19日の取引終了までダウ平均は31%の急落を演じた。しかしながら、その後市場は平静をとり戻し、約2年後の1987年8月には株価は元の水準に戻った。

2008年9月のリーマンショックはまだ記憶に新しい。リーマン・ブラザーズ破綻の影響を憂慮して提出された「緊急経済安定化法案」が9月29日に下院で否決されると — その時の下院議長もいまトランプ大統領と対立しているナンシー・ペロシである ― その日のダウ平均は(その時点の)史上最大の下げ幅777ドルを記録した。下落率では6.98%である。しかしながら、リーマン危機を引き起こした景気後退は2009年春先には底を打ち株価も3月初には反転した。ショック前の2007年10月につけた高値に戻るのは2013年2月なので6年を要した。

今回の株価暴落は下落率でいえばリーマンショックを超えている。歴史に残る暴落劇になったわけだ。今後、上のどのタイプの株価低落になるだろうか?

***

株価暴落は「恐怖指数(Vix)」とは裏腹の関係にある。

URL: https://www.barchart.com/

恐怖指数の動きの特性は
急速に上昇し、上昇後は緩慢に低下し元の水準に戻る
というものだ。

いわゆる『あつものに懲りてなますを吹く』という奴だ。

リーマン危機時には9月、10月の2か月で20近辺から瞬間的最高値70まで上がっている。その後、平常時の水準である20近辺に戻るのは2010年2月であるから、1年半を要している。ちなみに実態経済の景気後退期間は平均1年半程度であるというのが経験則である。

今回は年明け直後のVix指数はまだ20未満であった。それが1月、2月、3月にかけて急速に上昇し、昨日の瞬間的最高値は53.15になっている。株価暴落はこの裏返しである。

背景としては、アメリカ国内で新型コロナウイルス感染が拡大しつつあることは勿論だが、何よりサウジアラビアが石油市場でしかけている「攻撃的安値戦略」、というよりロシアによる「安値攻勢」というべきかもしれないが、石油価格(WTI、4月渡し)が一時バーレル30ドル割れにクラッシュしてしまった事がよりショッキングな突発的事象として無視できないところだ。

今後、石油価格だけではなく鉄鉱石、銅、アルミなど国際商品価格にまで低下の波が広がっていくことが予想される。

もともと米株価は「バフェット指数」(=株式時価総額÷名目GDP×100)が昨年11月時点で148にまで上昇していたことから、「株価バブル」が発生しているという認識があった。客観的な状況としては、1929年もしくは2008年に近いかもしれない。

多分「コロナ不況」と呼ばれるのだろうが、ウイルス対策と経済動向は実は本質的関連性は薄く、マクロ経済的な因果関係に沿って、今後不況色が強まり来年春辺りで底打ちする……そんな展開を今は予想している。

来るべき景気後退が来たということではないだろうか。

0 件のコメント: