2020年3月17日火曜日

新型コロナ感染拡大と実体経済の行方

昨日のNY株式市場はダウ平均が▲2997.10ドルの大暴落を演じた。下落率12.9%はワーストではないにしても歴史的である。

10日前にはこんな予測をたてておいた:

今後、本格的に景気後退局面に入れば、株価は更に3割以上は低落するだろう。アメリカのダウ平均は今年2月11日の29551ドルから19800ドル近辺、大雑把に予測すると2万ドルを割り込む可能性も予測範囲には入れておくべきかと思われる。崩落は始まれば急速に進む。が、それがいつの時点で始まるかまでは分からない。ただ、中期的な景気後退から株価急落が始まれば、平均的には1年半程度は弱気相場が続くのが経験則である。リーマン危機でもその経験則に従って2007年末のピークを経て2009年春に株価は反転した。

予測するが早いか激烈な現実がやってきた。

昨日時点でダウ平均は20188.52ドルである。もしもこれから景気後退局面に入るのであれば、更に3割から4割は下押しするであろう。そして本年1月の高値から50パーセント以上下落することになる。これも少々リアルな感覚とそぐわないように感じる。

 たかがコロナ型の1変種がここまでやるとはネエ……、と嘯ていては高齢者の方々に叱られそうである — かくいう小生も高齢者だと言われそうなのだが。

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トランプ大統領は7月頃がどん底、これから景気後退局面に入りそうだと話したよし。その一言で昨日のNY株価は余計に下げたのだとも。

まあ、「6月から7月どん底説」は、以下の理由からそれなりに賛成する。

しかし、景気後退局面に入りそうだというのは反対だ。データから見る限り、景気は既に後退局面に入っている。株価調整は随分以前から予想されていたことだ。

短いレポートを書いたのでRPubsにアップ、フェースブックでも公開しておいた。



公式の景気判断で使用している累積DI指数を吟味する限り、今回の景気拡大は2018年末から2019年初あたりでピークアウトしていたと思われる。日本のデータであるから日本の景気判断になるが、アメリカ、EUもそれほど異なるものではない(例えば、これこちらも)。

景気後退局面の平均的長さは1年半程度である。

とすれば、もしも新型コロナウイルスの感染拡大という攪乱的要素がなければ、株価は多少の波乱を起こしながらも、今年の夏には底打ちして秋以降は次の拡大局面に入っていったのではないかと推測できる。その意味で、トランプ大統領の7月どん底説は、動物的カンのようにも思われ、やはりカネに関することは侮れないのじゃあないかと観ているところだ。

それにしても景気判断を行う内閣府がこの間ずっと後退の可能性に全く触れてこなかったのは経済専門家としては不誠実である。

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