2020年3月9日月曜日

コロナ禍でいま直ぐに気がつく問題点はまだある

ダイヤモンド・プリンセス内での新型コロナウイルス蔓延に関連して、検疫と医療両面から同時並行的かつ十分な分量でサービスを投入しなかったという点は反省するべき点ではなかったか、と。この点は先日の投稿で記した。

もう一つ気がついた。

日本では
医療上さほどの意味のない無症状・軽症者に対するPCR検査の件数を増やすよりは、重症患者の治療に重点を置き医療現場の崩壊を回避する。現場崩壊を回避することで死亡者数を抑えることを重点目標とする。

このように目標を設定したことはやはり合理性があったと小生も思う。日本の国益にも適う措置であったはずだ。

***

ただ、目標を特定化することから、副作用も出てくる。

検査を拡大するよりは抑制的に運用し、医療現場制御の維持と死亡者数の抑制に重きを置いたために、無症状・軽症感染者の検査漏れが大量に発生することは予想しておくべきだった。

この副作用が日本国外にスピルオーバーしないように、同時並行的に「出国管理」をも厳格化しておくことも必要であったかもしれない。

***

海外の多くは新型コロナウイルス発生源である中国からの入国を早期に全面的に禁止した。ところが、日本では湖北省(後に浙江省も)に地域を限定し、比較的緩やかな入国管理を続け、2週間の隔離を全面的に義務付ける発表をしたのはつい先日の事だ。日本では緩やかな入国管理ともっと緩やかな出国管理が続けられてきた。

無症状・軽症感染者の多くが日本国内で「検査漏れ」となり、検査から漏れた多数の日本人感染者が中国からの入国を全面的に禁止していたアメリカ等へウイルスを運搬した……、と。こんな非難が今後少なからず出てくるとしても仕方がないだろう。

やはり今回のウイルス禍では、初動・検査防疫・総合的対応の多くの面で日本の施策には多々問題があった。この批判は免れないのではないか。『今回はまずかったよね』と感じている日本人は多いと思う。

『油断シテイマシタ』とすれば、やはりさすがの安倍政権もここにきて「焼きが回った」ということだろう。「反省・検証するべき点は確かにあったと思う」と謙虚に表明できるかどうかだろう。

***

早稲田大学は新年度の授業開始を4月20日に延期する決定をしたという。平常の予定より2週間だけ後に延ばしたことになる。最初の一週間はオリエンテーションになるので、授業は実質的にゴールデン・ウィーク明けからという感覚だ。

もしもゴールデンウィークが明けてもまだ新コロナ終息が宣言できず、授業も開始できないという状況であれば、その時こそ「夏の東京五輪開催はとても無理である」と。多くの人はそんな覚悟をするだろう。

日本の側でウイルス抑え込みの失敗が露わになり、それも一つの理由になって今夏の五輪開催を断念せざるを得なくなるとすれば、安倍内閣は夏を越すことは難しいのではないか。

最近の株式市場の動き、公表されている(例えば)景気動向指数の動きをみると、春から夏にかけての景気後退は侮れない度合いになるだろう。

来そうで来ない景気後退であったが、新型コロナが思いがけぬ引き金になって、本格的な景気後退期に既に入っている。小生はそんな風にみるようになった。


実際、一致指数(CO)、先行指数(LE)、遅行指数(LG)の動きをみても、現状判断は決して難しいものではない。

***

もちろん反省点はまだある。

1月から2月にかけて、襲来が予想されるウイルス禍とは関係のない「桜の花見」や「IR汚職」を国会のホットイシューとして延々と議論した国会の「ノー天気振り」にも目を向けておく必要があるだろう。

多々あると思う。

0 件のコメント: