こんな記事がある:
中部経済産業局が31日発表した管内主要工作機械メーカー8社の2月の受注額は、前年同月比19%増の295億7900万円だった。プラスは2カ月ぶり。新型コロナウイルス禍の影響が前年に色濃く出た中国向けが2.6倍と大幅に改善した。
国内向けは10都府県に対する緊急事態宣言の発令などで9%減(81億4000万円)と、27カ月連続で前年実績を下回った。中国や北米向けの回復で海外向けは35%増(214億3900万円)と、全体では回復基調が続いている。
(出所)日本経済新聞、3月31日
製造業に関する限り、中京地域は京浜、阪神を上回る日本最大の工業地帯である。 そこで工作機械メーカーの受注額が前年同期比で約20パーセント増というのは、明るさが本式に見えてきたということだ。
この辺の事情は、3月の日銀「短観」にも表れており、
日銀が発表した短観=企業短期経済観測調査で、大企業製造業の景気判断を示す指数はプラス5ポイントと3期連続で改善し、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準まで回復しました。これに対し、飲食や宿泊などの非製造業は、大企業でもマイナス1ポイントにとどまり、業種によって改善のペースに差が出ています。
という今朝のNHKの報道がある。
飲食、宿泊などは大企業でも今なおマイナス圏内。工作機械メーカーの受注額も国内向けは依然として9パーセント減のマイナス。増えているのは、中国と北米向けで、特に中国向けは急増している。
国内の機械受注全体については内閣府がこんな判断を示している:
内閣府は機械受注の基調判断を「持ち直している」に据え置いた。1月は緊急事態宣言が出たが「機械受注に大きな影響はみられない」(担当者)。受注額の水準は急回復した20年秋をまだ上回っており、基調は崩れていないとみている。
感染が再拡大していた20年末時点の集計では1~3月期は前期比6.0%減の見通しだった。持ち直しの基調を保てるかどうか微妙な局面にさしかかっており、担当者は「感染症の動向には留意が必要だ」と述べた。
(出所)日本経済新聞、3月15日
今後はワクチン接種数の増加から日本経済も回復していくのはほぼ確実だ。が、その回復がどのくらいダイナミックで、活力にあふれているかどうかが鍵であろう。
どうも工作機械の受注が増えたと言っても、その工作機械を活用して生産活動を拡大するのは中国や北米であるようで。それが得意ということなら、得意な産業分野に経営資源を集中するのが経済合理性にはかなっているのだが、こんな風に進んでいくと「お客さん」はほとんど外国人ばかりになり、外国人を相手にビジネスをしている企業だけがカネを稼ぎ、その他の日本人は公的な経営支援と公的な社会保障で何とか食っていく。
こんな状態になりはしませんかネエ・・・と心配になったりもする。
まあ、
日本企業では欧米企業に比べると、株主への配当を低く抑えて、内部留保を潤沢にする特長があります。この傾向は、現在でも続いています。 1988年には100兆円、2004年に200兆円、2012年には300兆円を突破しました。そして、直近の5年間は右肩上がりで増加して、2020年には483兆円という過去最高額を記録しました。
・・・
また新型コロナウイルスの感染拡大によって、潤沢な内部留保が功を奏しました。欧米の大手企業が資金繰りに苦しみ、失業率も拡大するなかでも、日本企業は大きな痛手なく持ちこたえることができています。
URL:https://www.manegy.com/news/detail/2982
こんな見方もあるのは確かだ。
この年度末は企業倒産の第1波がやってくると予想していたが、ほとんど大型倒産が発生することもなく4月を迎えることが出来たのは、政府の政策もあったのだろうが、「巨額の使いもしない資金」を貯め込んでいると批判されていた日本企業の「ケガの功名」でもあったわけだ。
下手に新規事業に打って出てないで良かったよネエ・・・もし攻勢をかけていたら、資金ショートをおこして、大変だった・・・よかった、よかった
その意味では「結果オーライ」である。
ではあるが、日本人の生活はこの先どんどん豊かになっていくという期待が持てるのかと言われれば、そんな将来に向けての布石は打ってないなあ、ということになる。
やっとデジタル庁がこの秋に出来て、3周遅れながらマイナンバーを広げていこうという段階だ。あまり多くを望めないのは仕方がないところだが。「政府が・・・」ではなく、やはり自分たちが望む最大公約数的な方向に沿ってきたら結果としてこうなった、と考えるべき社会状況だろう。勝つことより、負けないことがリスペクトされるところが日本社会にはある。とすれば、下手な事はしない。《戦わずして勝つ》、《無為こそ不敗の戦略》、これこそ日本社会では最も賢明な生き残り戦略なのだ。《減点主義評価システム》の下ではなおさらだ。
・・・とまあ、こんな意見もありうる。
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