2021年8月17日火曜日

一言メモ: 日本の大手メディアの驚くほどの劣化を示す証拠だろうか?

先日はTVの情報番組(ニュース、ワイドショーその他)でも早速以下の総理表明を報道していた:

酸素投与が必要な自宅療養者向けに「酸素ステーション」を整備するよう関係閣僚に指示した・・・

これに対して、カミさんもよく観る朝のワイドショーでは、総理発言に対して

これに対して、ネットでは・・・

と言いながら、インターネットに投稿されたコメントを紹介していたものだから、小生は絶句して開いた口がふさがらなかった。

小生: おいおい、テレビ番組っていうのは、総理はこう言った、それに対してインターネットではこんな意見が出ていますってサ、こんなことをやるのが仕事になっちまったのかネエ。なにもやってないじゃないか。まったくマスコミの社員ってのは、「気楽な稼業ときたもんだ」っていうのを地で行ってるネエ。・・・取材らしい取材って、もうやらないのかなあ?

カミさん: しょうがないでしょ、人と会えないんだから、みんなリモートで出演している位だから

小生: 大体、『総理が指示しました』ってサ、誰に指示したんだろう?厚労省の田村大臣か? 製造側も関係するっていうので経産相の梶山大臣にも指示したのかな?「指示された側」に「総理の指示にどう応えますか?」くらいの質問をしたっていいだろうにね。なんで聞かないのかね? 大体サ、「指示いたしました」って、前の安倍総理が何回言ってたっけネエ。結果はさっぱり出てこなかったけど、そのうち『どこか目詰まりが・・・』って言い始めたら、今度はそれをそのまま『どこかに目詰まりがあるようです』って報道するわけだから、まあ、こんなものなんだと思えばイイんだけどネ・・・

というわけで、「それでも観ていると面白い」というカミさんと、「なくてもいいなあ、こんなのは」という小生と、またまた朝の井戸端会議が繰り広げられたのであった。

何回か前の投稿では

日本国内のマスコミ報道は、ワクチン接種が進む現状の中で、伝え方がもう古いのではないかと思われる。

どうもこの辺にも、日本のマスメディア各社は、TVも新聞社も含めてどこもかしこも、不勉強で、この1年間の惰性で資料を作成し、スタジオでも資料を無批判に使って語っている、そんな様子が伝わってきて仕方がない。

こんなことを書いて、日本のメディア事情を嘆いている。末尾には

上のグラフをみると、確かに新規感染者数は激増しているが、死者数とのクロス相関は明瞭に変化が見てとれる―死亡者数の動きにはラグがあるので、まだ新規感染者数の増加が反映されていない可能性は残るが。この点をどう受け取っておくか、海外とのデータ比較もしながら、適切なニュース解説が求められているところだろう。

が、日本国内の「ニュース情報番組」がとりあげる話題はますます一面的になるばかり。

こうなったら「専門と違うとはいえ俺もデータ解析専門家のはしくれだ」と思って、関係データをダウンロードしたのだが、2、3日前に問題意識の高い方であろう、すでにこんな投稿があるのを確認した。結論的な部分を下に引用しておこう:

このように致死率に関してドラスティックな変化が生じているにもかかわらず、分科会の専門家と称する人たちがまったくそのことを国民には知らせず、人流を50%減少させるためにロックダウンなどという暴論が渦巻いていることは理解不能です。

英国の第4波が何もしないでピークアウトしたのは、英国国民が気の緩みを解消したからと日本の専門家が考えていたとしたらギャグ以外の何物でもありません(笑)

 (決してけなすわけではないのだが)上の投稿は、決して統計的に高度の分析スキルを用いているわけではない。着眼さえすればデータを入手して(ほとんど誰でも)確認可能な事実を指摘している。

指摘した事実が、医療の専門的見地からどれほどの意義があるのかといえば、専門家は「これも雑音です」というかもしれない。しかし、データから示される事実は、やはり事実なのである。現状把握をするなら、これもまた念頭に置いておくべき重要な事実の一つだと小生には感じられる。

「ネットではこんな意見があります」と日頃から言うのであれば、「こんな意見もある」と言って、専門的見解なるものを専門家に問うてみるのも、メディアの果たすべき責任というものだろう。

・・・ ・・・

今回の「コロナ第5波」は、五輪開催による日本国内の感染拡大というより、問題の核心はワクチン接種は別にして、《医療体制の強化・広域化》、《PCR、抗原検査の普及と拡大》を怠ってきた純粋に政策上のミスだと思われる。この実態と背景、原因を追究していない点に、日本のニュース情報の劣化がある、小生はそう観ているのだ、な。

マスコミが報じるニュースの存在意義は、存在自体にあるのではなく、「伝えるべき情報」を広く公衆に伝えて、それによって政府当局(及びスポンサーである「上級国民」達?)の独善を指摘できる点にある、だからこそ民主主義には欠かせない要素だと言われるのだ。

日本のメディアはもうジャーナリズムを実践することを諦めたようだ。文字通りの「マスメディア」、広告主に奉仕する媒体になってしまったんだネエ・・・。「なくてもいいなあ」という小生の言い分にも、それなりの根拠がある。


そんなわけで、世界情勢も大きく変化するかもしれない中で、日本のマスメディアはいよいよダメだと感じ始めるに至り、欧米の電子版を購読するかなあと探してみると、The New York Timesが何と”0.5$ per week"だと。毎週50円。毎月大体200円。最初の1年はこれでいいと。2年目からは標準料金"2.00$ per week"。それでも毎月概ね800円。The New York Timesはそれほど好きな編集方針ではないが、日経を購読すると電子版で毎月4277円だ。200円と4000円。比較にもならんでしょう、というわけで、日経は1年前に契約解除したあとのFreeを続けることにして、New York TimesをDigital Subscriptionで購読することにした。これに加えて、BBC、あるいはReuter(日本語版・英語版)、Bloomberg(日本語版・英語版)、CNNがあれば、アジア情報、日本情報を含めて、量的には十分以上である。質も良い。小生が特に変わっているとは思われない。ニュース情報収集において日本国内のメディアはもう既に辺境の位置づけに追いやられつつあるのではないだろうか?

更に、現役時代は必ず読んでいた英誌"The Economist".  年間購読料はデジタルで38640円だ。日経を1年続けると51324円になる。週刊誌と日刊紙をそのまま比べることはできないが、情報の品質とバランスの良さを考えると、いま日経を購読する経済的動機は薄い。こんな経済計算は、現役のビジネスマンなら誰もが思うのではないだろうか?

比較的「取材」に汗をかいている新聞でこんな状況。テレビとなれば、もう上のような状態。いよいよ、日本国内のメディア事情も煮詰まってきたようである。

亡くなった父は毎日配達される朝日新聞を熱心に読んでいた。この変わりぶり、悲しい事である。


 


 

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