開催中の東京五輪だが、これまでの大会にはなかった(というより、既にあった問題も一層拡大された形で)様々な問題が表面化している。
一つは言うまでもなく、パンデミックと五輪開催とは両立可能なのかどうかという問題である。
100年前のスペイン風邪大流行時には、アントワープ大会が敢然として開会されている。それは第一次世界大戦という未曽有の戦火が終わったことを喜ぶという意識が強かったからだろう。
今回も100年前の故事を踏まえれば、『開催しなければならなかった』と明言したマクロン・仏大統領に小生は賛成する立場にいる。五輪を開催することの意義は、感染を抑えるということの意義とは、別にある。だから、その大小関係をどう観るかということだ。
BBCも五輪開催中の感染者数増加には関心を払っている。2、3日前にも報道しているが、報道する際の主データに以下のグラフを使っている。
URL: https://www.bbc.com/news/world-asia-58024158
日本国内のTV局は、新規感染者数の動向を伝える上段のグラフのみを使っているのだが、海外の報道ぶりをみると、例えばThe New York Timesでも、"New Cases"と"New Deaths"の二本立ての数字を併記している。CNNでも、"US Cases and Deaths"の中で、"Cases and Deaths"の2数字を並記して伝えている。
日本国内のマスコミ報道は、ワクチン接種が進む現状の中で、伝え方がもう古いのではないかと思われる。
どうもこの辺にも、日本のマスメディア各社は、TVも新聞社も含めてどこもかしこも、不勉強で、この1年間の惰性で資料を作成し、スタジオでも資料を無批判に使って語っている、そんな様子が伝わってきて仕方がない。
ただ、NHKの《特設サイト 新型コロナウイルス》では、「日本国内の感染者数」と「日本国内の死者数」の二つの図を並べている。流石に、国際感覚が伝わるフォーマットを採っているようでもある。ただトップページの相当下の方に配置しており、最上部には「東京都 新型コロナ 4058人の感染確認 過去最多 初の4000人超」とヘッドラインを出しているので、その他マスコミ各社と意識は同じであるようだ。
どうも、ずっと以前、5月上旬頃にも日本国内でコロナワクチンの数不足が盛んに報道されているときに、ロイターが「数は足りているはずだ、今の問題は打ち手の確保とロジスティックスだ」と、先に報道されるという恥ずかしい状況を演じたが、足元のコロナ報道もまたデータのまとめ方、事実の適切な伝え方において、おかしなことをやっているようである。
上のグラフをみると、確かに新規感染者数は激増しているが、死者数とのクロス相関は明瞭に変化が見てとれる―死亡者数の動きにはラグがあるので、まだ新規感染者数の増加が反映されていない可能性は残るが。この点をどう受け取っておくか、海外とのデータ比較もしながら、適切なニュース解説が求められているところだろう。
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