2021年11月12日金曜日

ホンノ一言: デジタル化とマイナンバーカードを一緒くたにしちゃあダメでしょう

日本人が新しい物事に対していかなる警戒感をもつかは、既に多くの人が見たり聞いたりしているところだろう。いま流行の「デジタル化」、「マイナンバーカードとマイナポイント」についてもそうである。

今朝もうちのカミさんが贔屓にしているワイドショーを朝食をとりながら視たのだが、テーマはそのマイナンバーカード、さらにはデジタル化自体が善いのか悪いのか、ということだった。そして、その旧弊な発想と感覚に唖然とさせられたのは、常と変わらない、同じ調子であったのだ、な。出演者はみんな小生よりは若いはずだけどネエ・・・何ゆえにこれほどに慎重なのであろうと感じ入ること、しきり也。

小生: これってサ、運転免許をとりたいって言い出した息子に向かってさ、『そりゃあ、車が運転できれば便利だろうよ。しかしナ、運転している限り事故を起こす可能性はある、少なくとも確率はゼロじゃない、《最悪の場合》は、お前、死ぬことだってありうるんだぞ。親に先立って子が死ぬのは最大の不孝という。そんな覚悟はあるんだろうな!・・・』ってさ、こんなことを言う父親がいれば、誰だって呆れかえるんじゃないのかね?

カミさん: それは極端だよ。マイナンバーカードをもてば、個人情報が洩れるんじゃないかって話をしているんだから。

小生: 漏れることを心配するなら、マイナンバーカードじゃなくて、一人一人に番号をつけるナンバー制度そのものが危ないって、そう反対しないとダメだよ。大体、こないだも配偶者が公的年金をもらい始めましたかって照会が来たんだけどさ、そんなことは当の政府が知っているはずだヨ。それを俺に聞くか、お前が分かってるだろ、まあ、そういうことだよ。

ヤレヤレ・・・、

最悪の場合を考えて、政策は考えられるべきなんですよ

最近、何度も耳にするこの言葉を、単純かつ機械的に理解している人たちの何と多い事だろう。「最悪の場合」を考えるべきなら、地球に巨大隕石が落下する時の巨大津波、落下はしないまでも空中で爆発して熱核爆弾に匹敵する炎熱地獄が現出するというリスクに備えておくべきである・・・そんな理屈になるだろう。


マイナンバーは個人ごとに付与されるという意味で、極めて個人主義的な制度発想である。何ごとも個人が基本単位となる欧米ではシックリくる行政インフラだが、ここ日本ではまだまだ家族単位、世帯単位で納税、保険料納付、等々、色々な行政手続きが世帯単位で進められている所が多く残されている。それが自然だと日本人の大半が受け入れている。だから、世帯主は行政の非効率に苛立って、マイナンバーがあるんだからこんな書類記入なんか押し付けて来るなよ、鬱陶しい・・・と、こんな風な気持ちになっているとしても、その他の世帯員はマイナンバーカードって使わないよネエ、などと嘯いているわけだ。『使うよ!もしe-Taxがないと、それこそ面倒なんだよ』と強調しても、ある人の雑用にもたれかかっている世帯員はその面倒がピンと来ないのである。ここを個人単位の行政に変えていく必要があるとは感じている。

小生: このTV番組もそうなんだけどね。マイナンバーとマイナンバーカードを一緒くたにして話しているけどサ、デジタル化とマイナンバーカードはまったく別の話しだよ。完全デジタル化にカードなんて物は要らないんだよ。カードなんてものがあるから失くしたらどうしようって心配なのサ。カードなんて作らず、マイナンバーサービスを受けたい人はスマホにアプリをインストールすればいい、こんな方式でもいいんだヨ。アプリがなければ、保険証は保険証、免許証は免許証、銀行は銀行に行って、保険会社は保険会社でそれぞれ書類を取り寄せて、記入して、返送すれば手続き出来るようにすればいいんだよ。ヒトの手をわずらわせる分、コストがかかるから手続き費用は割高になるだろうけど、カネを払えば古いシステムが利用できるようにすればいい。これで安心できる人にとっては安心料ってわけだナ。一方、マイナンバー・アプリを利用してサービスサイトに指紋認証か、顔認証でログインすれば、何でも一発で済む。人は介在しないからランニングコストはほぼゼロ。投資コストは株主が負担。だから一般ユーザーは手続き無料。これがイイって考える人も多いはずだよ。となれば、そう出来るインフラをつくればいい。国際環境を考えるとそんなインフラを稼働させるべき時代になってきた。ガラパゴスはいかん。多分、日本ではそうなるのじゃないかなあとは思ってるんだ。何でも、日本は古いものが残るお国柄だからネ。「二重構造」の文化は日本社会の特徴でもあるんだヨ。

つまりは番組編集を担当するプロデューサーの感性、知的レベル、社会観に帰することなのだろう — いわゆる「社会常識」は、職業柄、十分なのだろうが。

 

デジタル化は急務である。世界で出来ていることが日本で出来ないことの方が大問題である。それを問題にしてTV、新聞で主題にしなければマスメディアの怠慢だろう。しかし、マイナンバーカードは、ちょうど副反応が怖いワクチン接種と同じで、不便でもいいから安心をしたい、そう願う人がいれば『利用しない権利』もまた受け入れる社会のほうが器が大きいというものだ。

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