昨日投稿から結論できそうなことは以下の点だ。
- 家計の現状から消費税増税で防衛費増額をまかなうのは無理筋だ―これは昨日投稿で述べた。
- 大衆課税が無理筋なら、後は企業課税、アッパー・ミドル層以上をターゲットにした増税があるのみだ。
- 企業課税増税は、DX投資低迷、グリーン投資低迷、生産性低迷、成長停滞に悩む現状の下では、愚策である。
- 残るのは、アッパー・ミドル層以上をターゲットにした増税のみである。
ずいぶん昔になるが、労働経済学者として、また経済格差拡大に関心を高めたことでも有名な橘木俊詔氏は《累進消費税》を提唱していた。
しかし、家計の現状をみると消費税に手を入れるのは当面は難しい。
とすれば、選択可能な政策として残るのは累進消費税ではなく《資産運用益に対する累進課税》しかない。
戦後日本で安定した保守基盤になってきた階層は日本全国にアッパー乃至アッパー・ミドル層として分布しているが、そうした階層に属する人々の大半はいま赤字法人の経営者であって、事業所得というチャネルではもはや税を負担していない。
事業所得は有効な税源としては(ちょうど大正期以降、それまでの税の柱であった地租を諦めたのと同じように)もう諦めるべき状況で、資産運用所得にターゲットを定めるのが合理的だ。毎年確定申告される配当・分配金・利子・賃貸料など財産所得に対して増税すればよい。特に分配の不平等が著しい金融資産の運用益に対しては、現行の一律分離課税20%ではなく、累進的な分離税率を適用するべきだ。譲渡益に対してもそうする方が望ましいが、株式譲渡益は景気に応じて変動が激しく、安定した財源にはならない。地代に対して増税すると借主に転嫁されるとも思われるが、(簡単のため)土地供給量を一定とすれば税負担は地主に帰着し、地主の所得が税額だけ減少するという理屈になる。
利子・配当所得への累進分離課税は、英米も既に実施している(参考資料)。
それでも不足するなら、財産課税、相続課税しか残された選択肢はないであろう — マア、自民党政権には実行困難ではあるし、アメリカもここまで過激な政策は望まないだろうと思う。
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