前稿で述べた一言コメントの要旨は
今回の銀行破綻は、(巨額のウクライナ軍事支援という事情もあるが)財政拡大下で強行しようとしているインフレ抑制がひき起こした荒っぽい《クラウディング・アウト》であると考えられる。
ということ。
実は、著名なマクロ経済学者であるGregory Mankiwが自身のブログで次のように投稿している。さわりの部分だけを抜粋しておく:
... monetary and fiscal policymakers are partly to blame for the recent inflation surge.
... some significant amount of monetary tightening is in order.
... The question is, how much monetary tightening is in order?
... The Fed made the mistake of waiting for inflation to appear before starting to tighten. It would be a similar mistake to wait for inflation to return to target before stopping the tightening cycle.
... Wage inflation has increased only about 3 percentage points. By this metric, which can be viewed as a gauge of ongoing inflation pressures, a smaller monetary tightening would be appropriate.
... M2 has grown a mere 3.1 percent.
... So, if I were one of the Fed governors, I would recommend slowly easing their foot off the brake.
... a recession seems a near certainty due, in part, to the Fed's previous miscalculations that led monetary policy to be too easy for too long. There is nothing to be gained from making the recession deeper than necessary. The second mistake would compound, not cancel, the first one.
コロナ対応でバイデン政権が実行した過大な財政とFRBの超金融緩和政策によってインフレが加速する事態を予め予見できなかった。一過性と思われたインフレが案に相違して終息しないと判断して後追い対応の「攻撃的金利引き上げ」に転じた。が、今度はそれがもたらすマイナス効果の影響を過小評価した。景気悪化を必要以上に深刻なものにして得るものはなく「二重の失敗」だと断じている。
小生もこの辺の認識に(ほぼ)賛成する。
★
ロシアがウクライナに仕掛けた軍事作戦にどう対処するかというバイデン政権の基本方針も背景にある(はずだ)。
要は、米軍派兵なき軍事支援と経済制裁だけでは、アメリカ経済(と世界経済)がもたない ―多分、現在の対応を続ければ、あと1年、もたないに違いない ― 多分、ロシア経済とロシア財政ももたないだろうが。
そもそもが、コロナ禍の後の”Return to Normalcy"(正常状態への復帰)が完了しないまま、無理な財政政策、無理な経済政策を続けているのである。
ロシア軍がウ・ロ国境に集結した時、NATOも集結し、バイデン大統領が米軍増援の用意があると一言声明を出せば、今回の戦争はなかった。
『ウクライナを助ける』ではない。『国連の集団安全保障体制を守る』という大義名分でよかったはずだ。
それをしなかったのは中間選挙を意識したからに違いない。さすがに「アフガン撤退」の見っともない姿の後、再び欧州派兵というわけにはいかなかったのだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿