アメリカのインフレが中々収まらないという議論が日本の世間では様々指摘されているが、既に投稿したように、アメリカでみられる足元の物価動向は落ち着いてきている。つまり前月比インフレ率の年率換算値なのだが、既に2パーセント目標に戻ってきている ― 雇用動向が予想より強すぎるとか贅沢な悩みがあるようだが、経済にはリーズ&ラグズがあるので、労働市場の反応が遅れがちなのは極めて自然である。
実際、先日投稿したとおり、4月までのCPI前月比年率値は下図のようになっていて、対マスコミでよく使用される前年比とはかなり違っている。
物価の前月比には、月々のノイズと(寄与率は実は暗に相違して大した高さではないが)季節成分が混在する。なので、STL(Seasonal Decomposition Of Time Series By Loess)を施してトレンド成分(=TC成分)を太線で加筆している。
同じグラフを日本のCPI総合の月次系列で描くと下のようになる。
まだ前月比インフレ率は低いが、それでも5%程度には上がってきており、このままのペースで毎月物価があがれば前年比インフレ率もそのうちに5%に達する理屈だ。
図の中の青い水平線は目安としてアメリカでは2パーセント、日本では0パーセントに引いている。
日本のインフレはアメリカほど短期的に顕著な度合いではないが、ジワジワと上がってきており、今後本当にコントロールできるのだろうか、と。そんな疑念を感じてしまうような形をしている。
ともかく、アメリカのFRBのような<攻撃的金利引き上げ>はとてもじゃないが日本の日銀には実行できないだろう。
マ、何にせよインフレ問題は、アメリカでは既に解決されてきている段階。日本はこれから深刻になるかもしれない段階だ。同じインフレとはいえ、そんなフェーズのズレが認められる。
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