2023年7月19日水曜日

昨日稿の補足: 「福一原発処理水の海洋放出」に安心感を与えうる体制とは?

昨日稿を捕捉するとすれば標題は上のようになるしかない。

そのための第1歩は実に単純明快だ。

「汚染水」を放出すれば海洋が汚染される。「海洋汚染」を担当する中央官庁は環境省である(べきだろう)。


反対陣営の主張の核心が「汚染懸念」であるのは明らかだ。だとすれば、東京電力の事業を円滑に進めることを所管する経済産業省が「安全」をいくら地元に訴えても、役所が東京電力サイドに同調している外観を呈するだけであって、うまく行かないのは当たり前である。

この理屈が分からないはずはないのだが……


  • 処理水放出後の近海水域の水質検査に環境問題を所管する環境省はどのように取り組むのか?
  • 近隣諸国の環境担当組織(及び国際機関?)とどのような相互協力を行って海洋水質の検査システムを造るのか?
  • 日常的な海洋水質検査の結果をどのように伝えていくのか?どこがどう伝えるのか?
  • <異常>が示唆される検査結果が得られれば、随時かつ直ちに、福一原発施設(に限られないが)に臨時検査を抜打ちで行う権限を環境省に与えるのか、与えないのか?

大雑把に考えても、この位の疑問点に日本政府は回答しても罰は当たらないだろう。そう思われるのだ、な。実際、環境省は現在も福一周辺海域のモニタリング情報をネットで提供している ― なぜ日本のマスメディアは環境政策で現に行われている活動を報道しないのか、(いつものことだが)疑問を感じている。

そもそも科学的には理の通ったことを日本はやろうとしているわけで、だからこそ米欧などの了解を広く得られている。それが今になっても納得を得られない ― どうしても残る一部の反対は、利害関係上、仕方がないことだが。不思議だ。


これはもう、ちょっと考えるだけでも解決に必要な道筋の察しがつく問題で、スケールを小さくすれば都道府県知事もこの程度の地元・関係者対策は日常的に定石どおりに迷いなくやっているのではないだろうか。

だから、この問題がこれほど注目を浴び、しかも解決されていないかのような状況を呈するのは不可思議な話である。


要するに

そもそも事業者には前科があって、その資質には疑問符がついており、そのため安全だとする事前調査結果があるにもかかわらず、事業着手後の環境への懸念を払しょくできていない。

問題の構造は単純でよくあるケースだ。「科学的結論」が疑われているわけではない。だから政府と一緒になって「反対するのは非科学的である」と批判するのは筋が違う。そう感じられるのだ、な。

【加筆】2023-07-20、7-24

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