植田日銀総裁が今後の経済見通しに関して
当然のことながらこういう状態になったらどこをどういうふうに変えていくか政策について常日頃からいろいろ考えている。ただ、先行きの不確実性がまだ極めて高い状況で、物価目標の持続的安定的な達成が必ずしも見通せない状況なので、出口でどういう対応をしていくかということについて確度の高い、こういう姿になるというものを示すことが現在は困難であるということかと思う。そこが見通せる状況になれば適宜、発信していきたいと思う
19日の記者会見で、このような見解を述べたそうだ。
金融面での超緩和政策を転換するとして、どんな形で進めていくか、今の段階で具体的イメージを語りにくい、と。
まったくその通りだ。
それより、米経済はソフトランディングに成功する確率が上がっている一方で、ヨーロッパ経済、日本経済はどうかと、全体に先行き不透明感が晴れないのは、コロナ禍三年の間のセンチメントとほぼ同じであるのは、むしろ驚くべきことである。そして、ロシア=ウクライナ、イスラエル=ハマスでは戦争状態になり、この他にもいつ戦争状態になってもおかしくないという地域がある(と言われている)。極めて不透明である。
試みに日本とアメリカの経済見通しをOECDのLeading Economic Indicator(LEI)でみると、
イギリスの国立経済社会研究所(NIESR)は、同国が今後5年にわたる「失われた経済成長」を迎え、貧しい人ほど影響を受けると警告した。
Source: BBC NEWS JAPAN
Date: 2023年8月9日
イギリスの国内総生産(GDP)が、パンデミック前の2019年の水準まで戻るのは2024年下半期だと、NIESRはみている。また、弱く「ぎくしゃくとした成長」が5年間続くことで、国内の経済格差が拡大するとした。たとえば、ロンドンの実質賃金は来年末には2019年と比べて7%高くなる見込みだが、ウェスト・ミッドランズなどでは5%低くなるという。しかし賃上げにもかかわらず、高いインフレ率によって物価は上昇。生活費の高騰はイギリス全土の家計を圧迫している。
国内の経済格差が拡大する
この点だが、イギリスも日本も事情は同じだ。
本ブログの投稿でもとりあげたが、年間収入別に食費が総消費に占める割合(=エンゲル係数)をみると、最低所得層は足元で驚くほどの高さに上がっている。日本では消費税率引き上げが大きく影響したのだが、同じ図を描けば、イギリスも同じような形になるのではないかと想像する。最近の経済的ショックの衝撃(=> 生活の苦しさ)は、特に低所得層において大きなダメージになっているのである。株価の暴落とはワケが違うのだ。
その意味では、岸田内閣による「低所得層」への定額給付金支給は否定するべきではない。着眼点は評価すべきだ。
ネットをみていると、批判者たる自分自身が好きでたまらず、つまり自己愛が強くて、更にそのうえ世間受けも狙っているのかどうか、そこは不明なのであるが、例えば
低所得層はホボゝ高齢者ですからネ、金融資産を持っていて、毎月の所得は低くとも生活はそれほど苦しくはないんですヨ、カネもってますから。それより現役層が苦しいんじゃないでしょうか?中間層ですよ、助けるべきは。
こんな「意見?」を開陳している御仁もいる。しかし、多額の金融資産を保有し、消費支出を切り詰める必要がなければ、やりくりも苦しくないわけで、エンゲル係数が上がるはずもない。データは事実を淡々と伝えているだけである。明らかな事実は、要するに、明らかなのである。
大体
低所得層とは高齢者ですって、そんなデータがどこにありますか?カネをもってる高齢者がどの位いるとお思いで?
普通なら誰でも聞きたくなりますゼ。
《見たくない事実はみたくない》というメンタリティが日本人の間で共有されているとしても、伝えるべき事実は伝えるべきだ。そうしなければ適切な政策対応につながっていかない。ジャニーズ性犯罪も宝塚パワハラ体質もここから生まれた。上のBBC報道は、データが示す事実は最小限にとどめているが、インフレの中の格差拡大という問題に目を向けているだけ、マシである。
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