2023年12月5日火曜日

ホンノ一言: 自衛隊の法的根拠を百年議論することの意味は何だろう?

この夏に大ヒットしたドラマ『Vivant』で自衛隊別班なる存在が派手に活動していた。誰もが知っている秘密の非公式組織だと、英国のMI6もずっとそうだったと……、そうだったんですか、というわけだ。

存在していない組織ならフィクションである。フィクションでよいなら日本が海外派兵したり、核武装してもドラマの中ならよいはずだ。本当に存在していると思うならその違法性に目をつぶって脚本化するのはどうかと思う。不見識だ。「さすがにTBSだネエ」と思わないでもない。


その自衛隊についてであるが、2023年という本年になって、まだなおこんな意見が述べられている。

日本の自衛隊とは、どんな存在なのか。ジャーナリストの池上彰さんは「『自衛隊の存在は憲法違反ではないか』と問われた裁判で、最高裁は合憲とも違憲とも判断しなかった。その後、自衛隊はあいまいな位置づけのまま、世界有数の軍隊並みの組織として成長し、国際社会で活躍の場を広げている」という――。

Source: PRESIDENT Online

Date: 2023-09-03

URL:https://president.jp/articles/-/73353?page=1

一昔前には多かった意見であるが、2023年という今、このような意見に珍奇さを感じ、「ハアッ?」と言いたくなる人が、あまり多くはないところが、戦後日本の珍奇なところであると思う。


戦後が始まってから既に78年。1954年の自衛隊創設から69年。もう親子2世代、というより祖父・親・当人の3世代という長い時間が過ぎた。それでも『自衛隊はあいまいな位置づけのまま』などという表現がオープンな言論の場で表明されている。

戦後ももうすぐ80年ですゼ。それでも結論が出ない。数学の難問じゃない。日本国の憲法と合致するかどうかという単純な問題だ。それが解けないでいる……。


もし日本人がバカの集団ではないなら、ここから言える結論はただ一つである。

日本人は法的正統性が曖昧でも現実の必要性があれば必要な組織や活動を受け入れる。そんな風に考える国民である。

だからこそ、法的に曖昧な正統性しかもたない国内軍事組織を、さして不安もなく、そのまま受け入れる。こう結論するしかないではないか。つまり、日本人の心の中では自衛隊は(西洋的な意味合いで)既に「合憲」なのである。現実に受け入れているのだから。自衛隊に関して憲法を改正する必要性はないという考え方にも一理ある。


即ち、自衛隊という存在は理屈が通るか通らないかという学理上の問題でしかない。

自衛隊は、日本人のホンネでは、大方、ロジックの整理がついているのである。

必要な時機が到来すれば、事後的にどうにでもなる。官僚と法学者が作文をすればイイだけのことだ。ホンネではそう思っている。こんな理解の他に理解の仕方があるのだろうか?


日本という国は、憲法と法律に基づく法治主義国とは言えないところが残っている。少なくとも日本人のメンタリティにはそんな傾向がある。多分、<自分たちが作った憲法と法律>という民主主義国なら不可欠のメンタリティが日本人には希薄なのだろうと思う。

 

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