健康保険証の新規発行がこの12月で(ついに?)停止され、今後はマイナ保険証に一本化されるというので、何だか日本中が騒然としているのかもしれない。テレビのワイドショー界隈では
いや、いや、大混乱ですヨ
と、火事場をみてきた野次馬のような感じで、連日報道している。
小生は、元々デジタル化進めるべしという立場だから、マイナカード自体はもうすぐ2回目発行で、保険証、金融機関とも紐づけをしている。確定申告もe-Taxで、ここでも本人確認にマイナカードを使っている。なので便利さは実感しており、テレビで煽られるという感覚はない。
ただ一つ疑問があるのだ。
健康保険証の新規発行停止だが、なぜ政府はこれほどまで執着するのだろう?
その強い動機、というか『保険証制度をマイナ制度に統合してデジタル化するのだ』という断固とした目的。その目的は譲れないと考える背景は何であるのか?……こんな疑問である。
これが足元の報道ではいま一つ伝わっていない。
~*~*~
「これかな?」という記事が日経にあったので抜粋引用させてもらいたい:
日本国内に居をかまえ、国内で活動する企業に雇われる外国人は日本人と同様に遇するのが原則である。一方で母国に残した家族の高額な医療費を日本の健康保険で賄う事例が報告されている。
まずは厚生労働省が悪質な事例の実態をつかむ必要がある。健康保険へのただ乗りが横行しているなら、それを防ぐ仕組みを政府を挙げてつくらねばならない。
外国人の健康保険加入者のあいだでは母国に住む家族を被扶養者にし、その医療費を保険で賄う事例が増えている。病院・薬局が、診療費について正確さを欠く領収証を出す国もある。
会社員などが入る協会けんぽや健康保険組合の適用範囲は、本人が扶養する3親等内の親族だ。居住地が日本か海外かは問わない。現状、健康保険の運営者が海外での扶養関係や診療内容を正しく把握するのは難しい面がある。
・・・
医療機関が初診時などに本人確認を徹底すれば悪質な事例は防げる。だが保険証には顔写真さえ載せていない場合が多く、十分な確認ができていないのが実情だ。
保険証の使い回しなどの不正使用は外国人に限らない。それを防ぐ決め手はマイナンバーカードと保険証の一体化だ。医療機関の受付でかざしたカードから本人情報を読み取れば、不正使用はあぶり出せる。厚労省は2021年春からカードによる確認を順次始めるというが、悠長に過ぎる。
移民の社会保障制度へのただ乗りは英国が欧州連合(EU)離脱を決めた要因にもなった。日本も外国人受け入れを増やす以上、保険証の不正使用などを許さぬ方策を完備しておかなければ、のちのち大問題になるだろう。
Source:日本経済新聞
Date: 2018年12月13日 0:47
URL:https://www.nikkei.com/article/DGXKZO38866580T11C18A2EA1000/
~*~*~
ただ、保険証の不正使用による医療費保険金詐取(?)はマイナカードと保険証との紐付けミスよりは余程少ない。それでマイナ保険証への一本化を断行する必要はあるのかと言われてもいる。
とはいえ、マイナ保険証の紐付けミスは初期トラブルであり、いずれ安定するとも予想できる。一方、(保険証の代わりに)「資格確認書」を発行し続けることで、従来型の「保険証犯罪」が増える可能性も懸念されているようだ。
単に国民が嫌がることを無理に強行しているわけではない。政府がそうせざるを得ない背景がある。
これがありのままの実相のようにも思われます。
上の記事は6年も前の日経記事だが、この辺の事情がテレビで取り上げられることはほとんどない(と記憶している)。
大体、理由もないのに、ただ「便利ですから」と国民の嫌がることを強行して、支持率を下げるなど政治家のオウンゴールである。(これとは違って真っ当な理由がある)消費税率引き上げも実行できない弱い与党が、ただ嫌われるだけの政策を推進するはずはないわけで、こう考える方がロジカルというものでしょう。
これまた無視できない一面なのだから、この件に関しては、特にテレビ報道はもう少し正確に説明するべきではないか、と。
特に、最近の民放TV報道の劣化。心配してます。「信じられない」という人々が増えるはずですテ。これじゃあ、「情報ジャングル」とも形容できるネット空間とドチコチない……
【加筆修正:2024-11-28】
0 件のコメント:
コメントを投稿