2025年5月1日木曜日

ホンノ一言: なぜ「消費税減税」ではなく「農産物関税引き下げ」で勝負しないのか?野党の思考回路が分かりません

米価高騰の無策を叩けばよいのに、消費税減税を打ち出して、その低脳ぶりが経済専門家に笑われている。一般国民にも(何事につけても?)その無知なる事実が伝わって来ている、こう思ったりする昨今であります。

多分、米価高騰を叩けば農家、農業関係者の反発を買い、今夏の参院選で票を失うと心配しているのであろう。実際には、そんなことはない。結局のところ、農家世帯を現実に保護してきたのは自民党であり、野党は都市部の大票田をとりにいくしかチャンスはないのであるから、農村地域の票が野党に流れることはない。

どちらにしても農家票は野党にながれるはずがない票田なのだから、野党は(ある意味)安心して大都市住民の利害を代表すればよいわけだ。ところが、この期に及んでも農産物関税率引き下げ、食品価格引き下げを打ち出してこない。野党の臆病なリスク回避姿勢も度を超していると感じます ― (そんなことはないと思うが)テロでも心配しているのかと邪推したくなります。

実際、産業革命が進行していた19世紀初めのイギリス。国内農家(≒地主階層)を保護する農産物高関税と、割高な食料品価格が高賃金を招いていると不満を募らせる企業経営者層の利害が対立した。もちろん労働者階層は食品価格が下がってほしい。この永年の対立をアウフヘーベンしたのが、1846年の穀物法廃止で、これ以後、イギリスは自由貿易を国是として大いに発展、Pax Britanicaと呼ばれる時代をつくっていけたわけである。経済学部の学生なら誰もが知っているはずだ。

つくづく日本の国会議員は、政治ではなく、選挙のプロなんだネエ・・・

情けなさには 涙こぼるる

であります。無知・無教養は仕方がないが、「何を待つのか、とにかく待とう」といった風の呑気さには呆れるばかりだ。

一体、何の専門家のつもりだか・・・?

ということであります。


ネットにこんな記事がある:

石破首相は、訪問していたフィリピンで記者団の取材に対し、食料品にかかる消費税の減税に慎重な姿勢を示しました。

石破首相:

高所得の方、あるいは高額消費も含めて、負担が軽減されることになりますので、低所得の方が物価高に一番苦しんでいるということから考えれば、どうなんだろうねと。

食料品の消費税をなくす立憲民主党の案について問われた石破首相は、1年間に限ることについても「事業者がごく短い間に2回のシステム変更することは可能か、事務負担という問題がある」と指摘しました。

正に《ものも言いよう》。苦労して引き上げた消費税率をいま自ら下げるはずがない。


大体、物価が上がったから減税するという政策、外国が聞いたら大笑いですぜ。恥ずかしいですワ、という人も多いだろう。インフレを抑えるには金利引き上げと財政緊縮が定石だ。

そもそも消費税を減税すれば、社会保険料が上がらないと、医療・年金を維持できない。軽減税率だけでも下がれば、シルバー世代は喜ぶが、現役世代は年金保険料・介護保険料まで上がって酷な結果となる。決してニュートラルではないのだ。


消費税を減税するより、食料品価格を下げれば、それが最もよい。こう発言する政治家がなぜ日本には現れないか?

そして政府は《ヤル気》になれば、米価は下げられる。

何故なら、コメの国際価格は安いからである。「米価高騰」は日本だけだ。



Source: 世界経済のネタ帳

URL: https://ecodb.net/commodity/rice_05.html

今年3月時点で63.40 円/kg、5キロにすると317円/5Kgになる計算だ。アメリカのコメ価格は日本の10分の1だと聞いたことがあるが、正にその通り。数字は語るというヤツだ ― 現時点では10分の1未満になっている。

上の図はバンコクの輸出価格だが、バンコク価格はタイ米ではないか、と?

アメリカの米価は下図のようになっている。



Source: i-DCR国際食料問題研究所

URL:http://worldfood.apionet.or.jp/pricechart/chart/No3-3.htm

上図をみるとカリフォルニア産の中粒種は今年2月時点で概ね700ドル/トンに下がっている。これを5キロ当たりの円貨に換算すると、1ドル145円のレートでは507.5円になる。やはり現在の日本国内の小売価格の10分の1というところだ。

多分、目隠しをされて日本産のコメと米国産のコメを食べ比べるとして、100パーセント正確に生産地を回答できる日本人はそれほど多くはないのではないか。

どちらにしても現地価格とは関係なく、ほぼ同質の品種のコメが海外から日本に来れば、日本市場のコメ相場を僅かに下回る価格で販売される。輸入業者間の競争圧力が弱ければ、米価上昇は抑えられるものの、火事を消すような米価急落にはつながらない。これが寡占的販売業者が選ぶ販売戦略だ。

しかし、利益があれば必ずコメ市場の供給は増える理屈だ。最終的には(関税ゼロにすれば)国際価格に収れんする ― この時、日本国内の農業は、というより「コメ農家」は全滅する(はずだ)と、騒ぐ人が多いわけである。


日本の野党はなぜこのような事実を国会審議の場で示さないのか、国民民主党の玉木さんが云っている《手取りの増加》より、余程アピールしますゼ。

食糧安全保障云々という理屈を超えて、

日本は何だか変なことをやっている

変なことでも理屈があれば好いのだが、余りに非合理であれば、やはり変な事をやって自ら苦しむことはないと思うが、いかに?

なぜ日本の野党は、どこもかしこも、この真っ当な議論を与党に吹っ掛けないのだろうか?

これが、小生にとっては、いまの七不思議であります。


・・・

以上の批評とは別にして、野党が本気で米価高騰を叩いて「関税率を引き下げて食品価格を下げる政策」を世に訴えるとしよう。

当然、自民党は(ホンネは農家票が欲しいからだが)食糧安全保障を唱えて野党を批判するはずだ。

さて、日本国民は(そうなった場合)どちらを支持するだろう?

食品価格が高くとも日本の安全保障を確保するべきだとする意見が多数を占めるかもしれない。小生は、実のところ、日本人の国民性を考えると、こんな展開もありうると予想している。

もしそうなれば、メディアが(今のように)米価高騰を非難するような報道を続けるのは難しい。何故なら、国の安全のためなら、輸入には頼らず、高い国産米を甘んじて食べ続けるという国民の意志と覚悟が、世論を通して明らかになるからだ。

真面目に議論することで、日本人が自らも気がついていない本音を知ることができる。それを通して政治の方向が与野党にも見えてくる。

これは善い事ではないだろうか?

故に、野党は常に与党に対しては(臆することなく)論争を仕掛けなければならないと思うのだ、な。

【加筆修正:2025年05月2日】

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