ソフトバンクが昨秋に米社・スプリントネクステルを買収し、米市場に進出する計画を公表した直後、ソ社の株価は財務悪化を嫌気して暴落した。その前に偶々売却していたので、その後の回復で幸運をつかんだが、10月下旬から始まった解散総選挙ユーフォリアを疑いの目で見てしまい、これは危ないと再度売却したものの、株価は延々と上がり続けた。しかたなく年末には買い戻し、この春までの急騰で再び幸運をつかんだが、米国・衛星放送企業ディッシュ社がス社の対抗買収案を明らかにするに及んで又々暴落。セオリー通り、全株、ソ株はすべて売り払った。それでも利益は出た。
この件についてはWSJがこう書いている。
Softbank Corp. CEO Masayoshi Son just found himself in a possible bidding war, one that gets more expensive every time the yen ticks downward.
Mr. Son’s gutsy $20 billion plan to take over Sprint Nextel Corp. took a big hit on Monday when Dish Network Corp. said it would trump Softbank’s price tag with a $25.5 billion bid, roughly a 13% premium to what Mr. Son offered.
Softbank shares plunged almost 8% in Tokyo on Tuesday morning, but analysts said they expect Mr. Son to get back in the game. (WSJ, April 16, 2013, 12:39 AM)
ソフトバンク社は、ディッシュ社の提案がそれほど良いものではないと批判した。
ソフトバンクは16日、米衛星放送大手ディッシュ・ネットワークが米携帯電話スプリント・ネクステルに対して行った買収提案に反論する談話を発表した。ソフトバンク側はこれ以上買収金額を増やすつもりはないと声明を出してもいる。
ディッシュが提案した買収額は255億ドル(約2兆5000億円)とソフトバンクの201億ドルを上回り、スプリントの株主にとっての利点を強調している。(読売新聞、2013年4月16日20時27分)
ソフトバンクは16日、米携帯電話3位スプリント・ネクステルの買収計画について、7月1日にも買収を完了する見込みだと発表した。米衛星放送会社のディッシュ・ネットワークが15日、ソフトバンクによる買収総額を54億ドル上回る255億ドル(約2兆4800億円)の対抗買収計画を発表したが、買収費用は積み増さない。ソフトバンクは従来計画のままスプリント経営陣や株主の支持を得られるとみている。 (日本経済新聞、2013/4/16 15:18)しかしながら、買収される側のスプリント社の経営陣、それから株主がどう考えるかによって、どちら側にでも転ぶ話しである。米当局が買収を承認しても、経営陣が合意しても、ス社の株主総会で支持を得られなければ、破談になるからだ。 WSJが比較しているとおり、ソフトバンクの提案とディッシュの提案を比較すると、どちらが良案であるか直ちには結論が出ないはずだ。仮にソフトバンクが主張しているように、ソ社の案に理があるとしても、買収金額でこれだけ凌駕されている以上は、何らかの変更を加えないと、理屈だけではス社株主がソ社を選ぶことはあるまい。これが大方の見方のようだ。WSJは以下のように書いている。
今後スプリントの取締役会はディッシュの提案がソフトバンクのものよりも良いか判断することになる。取締役がそのように判断した場合、ソフトバンクには条件上乗せの機会が与えられる。(WSJ、2013年 4月 15日 19:15 JST)本日、ソフトバンクの起債が報道された。
4月17日(ブルームバーグ):米スプリント・ネクステル買収で米衛星テレビ会社ディッシュ・ネットワークと競り合っているソフトバンクは米国と欧州で20億ドル(約1960億円)相当の社債を発行する準備を進めている。ソフトバンクの本日終値は4345円(前日比▲70円)である。直近ピーク比で400円安で小康状態を続けている。昨年10月12日に「スプリント・ネクステル社と買収に関して協議を続けているのは事実である」と公表した時は、前日比▲486円(17%安)の大暴落であった。ディッシュ社の対抗買収案が明らかになった4月16日は▲320円(6.8%安)である。本日のソフトバンクの起債報道は、ソ社が否定しようとも買収計画の変更は確実に迫られると16日の時点で既に織り込まれていたから、別に新たなショックではないのだ、と。こう見るのなら、別に否定するつもりはないが、これで一段落とも言えるはずはないだろう。今後もスプリント・ネクステル社買収をめぐって、相互の応酬が続き、その辺の情報に早く接する人たちが売買においては圧倒的に有利になるのは必至である。
事情に詳しい関係者によれば、ソフトバンクはドル建てとユーロ建ての7年債を週内に起債する可能性がある。利率は4.5-4.75%になる公算だという。
社債のマーケティングは先週始まり、ソフトバンクは調達資金の一部をスプリント買収資金に充てる意向だという。発行条件が決まっていないことを理由に同関係者が匿名で語った。社債発行は買収が完了するかどうかには左右されない。(Bloomberg Japan, 2013/04/18 08:30 JST)
この事情は、現在の国内電力株についても同じであり、永田町、霞ヶ関事情に精通している投資家が ー インサイダー取引だと断定できないにしても、やはり ー 圧倒的に有利である。
大やけどをしそうである。一般投資家は少し離れて進展を楽しむくらいがちょうどいいと思う。楽しむにはこれほどの経済ドラマはそうそうあるものではない。
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さてと、では次の運用先をどうしようか……、トヨタは優良企業だが、その割にはあまりにも為替レートの変動に対してヴァルネラブル(Vulnerable)である。いまのアベノミクスに対する批判が、たとえば米・財務省から加えられるだけでトヨタの株価は激しく変動する。ちょっとコリゴリですなあ。大体、いまはどこも高値圏内にあって、ちょっと買う時ではない。とはいえ、買わないリスクもある。困ったねえ。パナソニックは歴史的安値にある。配当は・・・というと、無配である。やっぱりね。東芝は<世界的原発ブーム>の波に乗って好調だが、ポートフォリオでだぶる点がある。重電をこれ以上増やしたくはない。楽天は、これもなお高値圏にある。900円程度まで落ちてこないとなあ、買えぬ。総合商社はどうだ。商事、物産のチャートを出してみる。1年、5年、10年。これは何と!電力株が安定株だと思っていたが、実はそれは商社株ではなかったか。2006年から7年のバブル前後でなるほど暴騰・暴落はしたが、その後は文字通り超安定。いまは配当利回り4%に達しており典型的な安定株である。なまじ国債を買うより絶対こちらだ。加えて、安倍内閣がTPPを推進すれば、これがまた総合商社には追い風になるのが確実。高配当に加えて株価上昇も期待できる。
どうやらソフトバンクから物産へ乗り換えるのが賢明だ。
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