2021年7月22日木曜日

一言メモ: 東京五輪・・・出てくる、出てくる。「不運の神」につきまとわれているのか?

「呪われた東京五輪」という揶揄が世間で広まっているようだが、そもそもオリンピックと東京とは相性が悪い、というか、「五輪との悪縁」があるのは事実だ。

1940年五輪の自主返上、そして今回のコロナ禍と史上初めての1年延期、その延期もワクチンが間に合わず非常事態宣言下の開催となってしまった。世界広しと言えども、こんな大都市は東京だけである。

これまで露見してきた数々の不祥事も箇条書きにリストアップしなければ思い出せないくらいだろう。

今回は次のようなトラブル:

 23日に行われる東京オリンピックの開会式でショーディレクターを務めるコメディアンの小林賢太郎さん(元ラーメンズ)が、ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をパロディーにしたとみられるコントの動画がインターネット上で拡散している。米国のユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は21日、「反ユダヤ主義の発言」として非難する声明を発表した。

URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/0bf323874db9e58943b723a3209a003065800da1?tokyo2020

Source:東京オリンピック・パラリンピックガイド


この記事に対して、次の読者コメントが寄せられている:

そもそも論、なんで小山田氏やラーメンズ小林氏のようなサブカルチャーで道を切り開いてきたような人物に国際的な、国民的な行事の演出を任せたのかな。サブカルも立派な文化だけどさ、清廉潔白綺麗なものじゃないことは分かりきってることじゃない。

日本文化に精通している野村萬斎さんがやはり適任だったよ。

小生も同感。

まことに、ごもっともで御座います。


依頼されたコメディアンは、いまは元コメディアンであるとしても、何を頼まれるにせよ、やはり誠心誠意、《ウケ》を目的に内容を詰めるに違いない。しかし、コメディアンに拍手喝采をおくるのは、目の前のファンであるのが日常だ。ファンを喜ばせようとする努力は、コメディアンだけではない。TV、映画製作者、アーティスト等々、芸術家、芸能界関係者は全て同じだろう。

ウケをねらう努力は、それ自体、(この点は意見が分かれるとわかっているが)小生は正当な努力だと思う。

とすれば、ウケようと願っているその芸能人の《日常空間》と、国際的イベントであるオリンピックとが、相性の良いものであるかが大事だ。コメディアン、パフォーマー、演出家といっても色々いるが、きわどい「ギャグ」を飛ばして哄笑をひき出す商売と、表舞台を支配する《国際的人権感覚》、《歴史感覚》とは、相性が悪いのではないだろうか。堀田善衛『定家明月記私抄』でも「ルネサンス的遊び人」の後鳥羽天皇と「くそ真面目」な鎌倉武士とのすれ違いが書かれているように、「遊戯」と「真面目」とはハナから対立関係にあるものだ。引き合いに出せるかどうか分からないが、イスラム教信仰とフランス流の自由とがしばしば対立しているように。

どんな芸術家であれ、芸術家は(最終的には)生前の人柄ではなく、作品のみで評価されるものだ。開会寸前で退場を迫られ、その作品も日の目をみないことになったことは、《身から出た錆》であるにせよ、残念無念であるに違いない。『観てから批判してくれ』という思いもあったに違いない。


マ、自由な精神を我が命であると思う人間と、特定の価値観を譲らない人間は、最後まで溶け合うことはないし、理解しあえる時が来るのかどうかも疑わしい。


今回の件もまた「人選ミス」であった。


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