2021年12月26日日曜日

「エンデミック?」、日本はまたアメリカを追いかけるのだろうか?

Wall Street Journal(日本語版)にこんな記事があった。抜粋してメモしておこう。

米国では1日1200人以上がコロナで死亡している。だが、通常のインフルエンザよりも死亡者数や感染者数がはるかに高水準であっても、コロナの感染拡大は恐らく、エンデミックとみなすのに十分なほど予測可能なパターンに落ち着くと、公衆衛生専門家はみている。

ウイルスが今後どのように変異し、過去の感染やワクチン接種による免疫反応がどのくらい持続し、コロナ対策で各国がいかに先手を打てるのか。これら全てが、社会とコロナの息の長い関係に影響を与えるだろうと公衆衛生専門家は言う。

 カリフォルニア大学アーバイン校の感染症疫学者であり人口統計学者でもあるアンドリュー・ノイマー氏は、1918年に大流行したインフルエンザを研究している。同氏は変異株によるコロナ感染の波が、数十年にわたって定期的に米国を襲う(特に冬季)と予想している。集団免疫力が高まるにつれ、死亡者数はいずれ大きく減少するだろうと同氏は言う。その代償として、コロナに最も感染しやすい人々の間で病気や死亡が増える公算が大きい。

「コロナは木工細工の中に組み込まれている」と同氏は言う。「もはや調度品の一部だ」

Source::WSJ、 2021 年 12 月 24 日 15:22 JST

URL:https://jp.wsj.com/articles/covid-19-marches-toward-endemic-status-in-u-s-as-omicron-spreads-11640326836

確かに2019年末に確認され世界に拡散した新型コロナウイルスによる混乱は、程度の見方に違いがあるにせよ「ブラックスワン」、ある意味で「アノマリー」とも言える異常変動であった。それが、既に地球上に拡散し、定着し、今後の新型コロナ感染はウイルス側の変異と人類側の免疫適応とのバランスがとれた定常的な進化プロセスに収束していくだろう、という予測である。

日本人の感性であれば上の引用のうち

集団免疫力が高まるにつれ、死亡者数はいずれ大きく減少するだろうと同氏は言う。その代償として、コロナに最も感染しやすい人々の間で病気や死亡が増える公算が大きい。

という「言葉」には、それなりの社会的反発があるだろうし、世間の反発を怖れる日本国内のマスコミは、決してこんな表現はしない、もっとマイルドな文章で「一部の識者にはこんな見方をする向きもある」などという言い方をするはずだ。日本は何事も人の心を忖度する「ものも言いよう」のお国柄である。

とはいえ、小生は『アメリカ人ならこんな考え方をするだろうネエ』とも思った。ベトナム戦争でアメリカの"Best and Brightest"達がどんな思考をしていたか、ハルバースタムの名著が伝えている所でもあるし、その後の国防戦略、経済戦略を振り返ると、アメリカという国は、ひょっとするとイギリスも含めたアングロサクソン系の国々はどこでもそうかもしれないが、上のようなある意味で「統計的発想」を好むのだなと改めて感じる。これが《科学的》というなら、確かに科学的である、と言えるかもしれない。

夏目漱石の『草枕』とは逆の意味になるかもしれないが

科学とは非人情なものなのだ

これに尽きる。 

0 件のコメント: