2022年9月2日金曜日

断想: ドイツの危機 vs 日本の危機?

ずっと以前は、梅棹忠夫『知的生産の技術』に刺激されて「京大式カード」を愛用していたが、何年か前にカードからは足を洗い、今はEvernoteユーザーである。保存しているカード数はそろそろ1万枚になるが、何事によらず高速検索をしては有難みを実感している。

何日か前にも、こんなクリップを保存した。

ドイツの首都ベルリンで21日、政府機関が市民に一般公開され、首相官邸の庭で記念撮影を求めてショルツ首相の両隣に立った女性2人が突然、上着を脱いで上半身裸になり、ロシア産ガス輸入禁止を訴える一幕があった。2人はすぐに警備担当者らに取り押さえられた。

女性らは上半身に「今こそガス禁輸を」と書き、驚いた表情を見せるショルツ氏の横で禁輸を求めて叫んだ。

ロシアのウクライナ侵攻後、ロシア産天然ガスへの依存度が高いドイツは禁輸に否定的だった。欧州連合(EU)は石油禁輸では原則合意した。

ドイツは6月からロシア側にガスの輸送量を大幅に削減され、需要が高まる冬場のガス不足が懸念されている。(共同)

 Source:  THE SANKEI NEWS, 2022/8/22 13:19

強固なドイツ社会もいま社会的ヒステリー状況にある。「泣きっ面にハチ」というか、ポーランド政府は第二次世界大戦中にドイツがポーランドに与えた戦災に対して損害賠償請求する、という報道だ。いくらの請求額になるか具体的金額は不明確だが、ダイレクトに積算するとマア100兆円とか何百兆円の桁数にはなるのではないか。ドイツは降伏とその後の戦後処理については終了しているという、まあ日本とも共通している外交姿勢をとっているから賠償請求には応じないだろう。これもロシア=ウクライナ戦争でドイツが戦後空前の国家的危機にあるから起きてきた事象である。ドイツが(ロシアと親密な関係を保ち?)強力であればポーランド政府も請求など出せるはずがないからだ。

さて、上の引用記事に対して、こんなコメントを自分で付け加えているので、コピペしておこう:

同時期の日本とドイツの世相を比較するのは結構興味深い。日本がいま統一教会で国民的ヒステリーに陥っているとすれば、ドイツは天然ガス供給削減とそれがもたらすエネルギー危機がダイレクトに社会的ヒステリーを触発しているようだ。どちらの国も落ち着きを失っている。 
ところが、よく実相を吟味すると、ドイツの危機は真性の国家的危機であるのに対して、日本の危機は安倍元首相暗殺事件の主犯の供述に基づいたマスコミの一斉攻撃が演出しつつある、かなり劇場的要素を含む関心の広まり、集中とも言え、その意味では東京ディズニーランドのパレードに似ている面もある。そう感じるのは小生だけだろうか?ドイツの危機はリアルな危機、日本の危機はどこかフィクシャスで虚構性が混ざっている。小生、何度も断っているように、偏屈なへそ曲がりなもので、どうしても心の中でそう感じてしまうのだなあ・・・。 
ドイツは国家という家が火事で焼亡するかもしれないという危機、日本は燃えやすいカンナ屑に火がついてペラペラと宙を舞っているような危機。同じ危機でもそんな違いを感じる。

ヨーロッパの干ばつやスペインで降ったという雹はテレビの話題にするが、国土面積の3分の1が冠水したという惨状のパキスタン水害は5分程度紹介するだけで終わり。国連による救助をはじめ国際的支援が始まっているというのに、日本は自国の豪雨で手一杯だ。ドイツの《泣きっ面にハチ》は他山の石ではない。国力が低下すれば、四方八方から問題が発生し、対応できるゆとりがなくなっていくものだ。

フィクションのような危機を大真面目に議論して、真に重要な問題を放置する愚を敢えてするとすれば

こぼるる涙は、喜劇か、悲劇か、いずれを見てであろうかのう

と、まるで人形浄瑠璃のような世界にも見えてくる。 

0 件のコメント: