2024年5月5日日曜日

ホンノ一言: 再上昇しつつあるエンゲル係数

昨年の今頃、年間収入別のエンゲル係数を調べた。結果は本ブログにも投稿している。外食と酒類購入は除外した。

その時は令和元年10月の消費税率引き上げでいったん上昇したエンゲル係数が下がりつつあるという形をしていた。しかし、その下がり方には年間収入階級間で違いがあり、生活に余裕のある第5五分位階級でより大きく下がっている。余裕のない第1五分位階級ではエンゲル係数がほぼ上がったままになっている。そんな傾向が見てとれた。

この1年、円安を背景に日本でもかなり物価が上がってきたが、その反面、賃金上昇がそれに追いつかず、暮らしは苦しくなっていると憶測される。

そこで、同じ図を描き直してみた。



データは「2人以上の世帯」だから単身者世帯を除いた平均的な姿を表している。

明瞭な点は、下がっていたエンゲル係数は年間収入とは関係なく再び上昇しつつある、ということだ。

加えて、年間収入階級間のエンゲル係数の開差がこの20余年間で拡大してきている。これは実質的な生活水準における階級間格差が拡大しているという事実を示唆しており、不平等度を測る指標としてよく使われている「ジニ係数」とは別の次元から、進行しつつある格差拡大を伝えるものである。



エンゲル係数は直ちに生活水準を伝えるものではないという点には留意するべきだ。が、消費支出のうち必需性の高い食費に費やされる割合が上がれば、その他の支出、たとえば教養娯楽費、教育費などのサービス支出を控えなければならない。家計のやりくりには厳しさがつのっているはずだ。これも実質賃金が低下していることの反映だろうと解釈している。

【加筆修正:2024-05-06】





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