2024年5月7日火曜日

ホンノ一言: マスメディア業界にも近いうちに黒船がやって来るのではないか

 最近の国内メディアが愛用し始めている表現に

欧米メディアも・・・を絶賛しています。

欧米のファンも・・・にはビックリ仰天で絶句している。 

等々というのがあって、どうやら欧米の受け止め方を日本語で国内に伝えると、視聴者・読者が喜ぶと考えているらしいのだ。何だか

欧米はヒノキ舞台で、昔なら花のお江戸

日本は片田舎で、昔なら西国の小藩

まさかこんな心理じゃありますまいネ・・・そう感じたりする。


分野は違うが、その昔のデパートが採っていた商品戦略を思い出す。

小生が若かった時分は、銀座や梅田にルイ・ヴィトンやシャネルといった超一流ブランドの直営店はなかったので、国内でそれらの品にアクセスするには、三越や高島屋、伊勢丹など老舗百貨店に行くしかなかった。

その頃は、デパートとスーパーを分ける最大の違いは、扱っている商品のブランド価値にあったわけだ。

ところが、海外一流ブランド企業が続々と日本直営店をオープンするのに伴って、正規代理店であった日本のデパートは存在価値の大きな部分を失うに至った。


同じ道をいま国内老舗メディア企業がたどりつつあるようだ。

欧米メディアの報道ぶりを日本人向けに日本語で伝えるやり方が儲かるのであれば、日本企業に儲けさせておくよりは、日本支社を設けて、日本語版を直接販売するほうが利益になると思うだろう。

三越にシャネルを売ってもらうよりは、直営店を開いてダイレクトに売る方が得だとフランス本社が考えたのと同じ理屈だ。流通が合理化されると、多段階の仲介業は居場所がなくなる。これはずっと一貫して進行してきたプロセスである。


例えば、ジャニーズ報道で名をはせたBBCやアメリカのリベラル派報道で著名なCNN、更にはThe New York Times、USA Todayなどは、日本市場に進出する有力な候補だろう。

NYTはWEBビジネスが好調で先日も以下の報道があった:

米新聞大手 ニューヨーク・タイムズ (NYT)は8日、デジタルと紙媒体を合わ総有料購読者数が9月末時点で1008万人となり、1千万人の大台を突破したと発表した。 デジタルだけの購読者が941万人と3カ月間で約21万人増えた。 NYTは2027年末までに1500万人に拡大する目標を掲げている。

英語という言語の国際競争力そのものである。 

しかしながら、AIを活用すれば、言語の違いは、低コストかつ効率的にクリアできるはずだ。NYTの日本語版もその気になれば実現は容易だろう。

実際、Wall Street Journalは日本語版を提供している。今はチョット購読を休んでいるが、この間まで小生も愛読していた。WSJの日本語版を購読すると、オリジナルの英語版にもアクセスできるのでコスパが高いのだ。もう一つ、The New York Timesをヒョンな理由で中断していたが、4週4ドルで購読を再開した。この価格は1年限りのキャンペーン価格だが日本経済新聞の10分の1である ― 円安で10分の1とは言えなくなったが。


日本のメディア業界は、政府による許認可と再販制でゴテゴテに守られている保護産業である。最近の国内メディアの失態によって日本人読者層、視聴者層が寄せる信頼にもひびが入り、日本の資本規制に対する国際的批判に極めてヴァルネラブルな状態だ。日本政府も抵抗できないだろう。いずれ自由化され外国メディアの黒船がやって来ると予想する。


小生の父の世代では、朝日新聞と日本経済新聞を購読するのが知的階層の必須のツールであったのと似たイメージで、やがてBBCの地デジ放送を日本語で、人によっては英語で視聴し、The New York Timesの(とりあえずは)日本語版を予約購読するのが、ハイブラウな日本人家庭の習慣になるかもしれない。

BBCもNYTも日本特有の閉鎖的記者クラブ制などは解体しろと迫るだろう。

グローバル化の荒波を避けるには、日本独自の価値観や倫理観、美意識を国内メディア企業が体現するのが決め手だが、この時代、自国の憲法改正を自国で議論もできないほど自主独立の精神を失った日本で、もうこんなことは無理な相談だろう。

【加筆修正:2024-05-08】


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