2024年6月20日木曜日

ホンノ一言: 都知事選はチンプンカンプンの現代版かも

今度の都知事選がキー局のワイドショーを通して日本全国に連日放送されている。そこでは現職の小池百合子候補が三つのシティだったか、例によってキャッチーなフレーズを思いついたようで。

  1. セーフシティ
  2. ダイバーシティ
  3. スマートシティ

この三つを売り文句にして話している。

具体的に「防災と防犯」、「多様性の向上」、「デジタルDXの加速」とでも言えば、まあ曲がりなりにも意味が通じると思うのだが、これでは昭和のおっさんみたいだ ― 実際には「昭和の△△さん」ではあるのだが。ヤッパリ「元・ニュースキャスター」の遺伝子はシッカリと効いているようだ。

同じような筋合いというわけではないが、このところ、昔みて今ではスッカリ忘れたTVドラマを視るのと似ているのだが、司馬遼太郎の『街道をゆく』を読み直したりしている。そのきっかけは先日の投稿でも書いたことだ。


今回は36巻の『本所深川散歩、神田界隈』の中の次の下りには笑ってしまった。

文章語もまたその国の言葉だから、社会のすみずみまで共有されるべき性格をもっている。

「なにをいってるんだか、チンプンカンプンでわかりゃしない」

という言い方は、江戸で多用された。チンプンカンプンとは、三好一光編『江戸語事典』(青蛙房刊)に、「儒生の漢語に対する庶民の冷笑語」とあり、漢文・漢語のことらしい。

・・・

要するに、一国の文章語がチンプンカンプンだと、法も経済も興らない。 

チンプンカンプンという単語は小生も頻繁に使ってきたが、江戸時代以来の日本語であったかと、これまた読んではいたが、身についてはいなかった知識だ ― まあ、司馬遼太郎の記述を信頼しての事だが。

現代日本には、古典・漢文をバックボーンにもつ政治家など、日本中を探し回っても(まず確実に)一人もおるまい。いるのは(第二外国語の仏語でも独語でも西語でもなく)英語から流行単語群をピックアップして気に入った幾つかを列挙しては有権者を煙にまく ― マウントをとるといえば現代的表現になるかもしれないが ― そんな(選挙の)プロ達である。

上の小池候補の三つのシティは、英語でもなく「ナイター」や「トンカツ」辺りと同じ和製英語に近い臭いがするのだが、何となく英語としてもキャッチフレーズになりそう、というか使用例があるという所に手堅い感覚がうかがわれ、流石に元・ニュースキャスターだと感じる。


でも、まあ昔のチンプンカンプンに相通じる反応もありそうで、上の台詞をもじるなら

何をいってるンだか、アレシティ・コレシティ・ドッチデションなんて、わっちに聞かれても、答えようもありませんヤ

まあ、それでも最近流行のイニシャル単語よりは単語になっているだけ良心的かもしれない。

何をいってるンだか、そのエスディージーズって、何か特別な種類の痔のことでござんすか?

こんな問いかけをする有権者が出てくるかもしれない。そうしたら、立候補をしている恵まれた階層出身の昭和生まれの候補者が

Who?

Who?

Who Are You?

などとのたまいながら、"Jesus Christ Superstar"を踊りだすかもしれない。

そんな情景がもしリアルで演じられでもすれば、TVのワイドショーは連日の大賑わいになって、キー局もスポンサーも大喜びをするに違いない。昔の小判ならぬ、マネーが宙を舞うでありましょう・・・


ま、いずれにせよ、都知事選は北海道に暮らす小生には(今や)遠い地方のことで、エンターテインメント以上の意味はほとんどなくなったのが残念な所だ。

今日の投稿は遠くの地方選の情況を連日見せられて辟易とした感想ということで。

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