乳幼児、若年層の多くは概ね無症状・軽症のまま治るが、高齢層は重症化しやすく、致死率も高い。若年層でも持病がある人は重篤化しやすい。大枠はこんなところだ。
新型コロナに対するワクチン開発を進めている専門家には『人類の60~70パーセントは新型コロナウイルスに罹患する』という見通しを述べる向きもある。Dr. Richard Hatchettである。ドイツのメルケル首相も同様のことを語っている。何日か前は『人類の40パーセントは感染する』という程度だったから、その後の拡大で長期的感染率の見通しも上方修正されたのだろう。
今回の新型ウイルスは、高齢者には怖いが、そうではない年齢層にとっては普通の風邪とほぼ同じだ。医療システム制御で凡ミスさえ犯さなければ、大半の人にとっては怖いという感覚をもつ必要はまったくない。年齢層の間の致死率の違いが非常に大きい。体質によって発症の度合いにばらつきが非常にある。そんな特性がある。
このようなウイルスの特性と長期的な感染見通しに基づいて、どう対応するのが社会的に合理的であるのか。この辺りが今後次第に定まってくると予想している。
そこで個人的な予想を覚え書として書いておきたい ― そういえば、東日本大震災直後も、その時点で予想できたことを書いておいたのだが、半分以上はまだ実現していない(参考はこれ)。なので、以下に書くことの半分も実現されないかもしれない。
- 社会の基盤である生産活動は(基本的に)再開されるはずである。発症し感染が疑われる場合は検査を行い陽性の場合は自宅待機とするのはインフルエンザと同様に対応する。こんな方式になると予想する。
- 但し、クラスター形成の確率が非常に高くなる活動、つまり下図の3条件を満たす活動は時限的に、例えば1年間程度は禁止もしくは自粛要請されたり、あるいは入場時の体温チェックが義務付けられるのではないか ― 具体的にどの分野、施設で何が求められるかは、ちょうど「軽減税率」対象品目を指定するのと似ていて、恣意性が混じるのは仕方がないが。もしその間に喪失所得が発生するなら、幾ばくかの所得補償が失業保険と併用しながら別に立案されるだろう。
- 感染者が自宅で発生した時の「自宅待機」のあり方が最も重要になる。例えば『新型コロナウイルス感染者の自宅待機に関する行動指針』が感染者本人、家族への「お願い」として国内全世帯に郵送配布されるのではないか。日本人は公的な方針に従うことが好きである。全世帯配布は『年金お知らせ便』と同じである。
- マスク、アルコール消毒スプレー・ジェル、うがい薬などの適切な使用法なども「お願い」の中で記述されるはずである。
- 『接客に際する行動指針』、『勤務に際する行動指針』も必要かもしれない。
- 当面1か月、3か月、1年、ワクチン製造の目途がたつまでの2年程度までに分けて、<緩慢な感染拡大>と<死亡数の極小化>を担保するための戦略見通しがメディアを通して伝えられるだろう。
- その間の経済対策などは当然上の戦略と併せて示されるはずである。
大体、3月下旬から4月、遅れれば今年のゴールデン・ウィークにかけて、こんな風に物事は進行すると観る。
世間の期待も概ねこんな所ではないだろうか。実際、うちのカミさんとはこんな話を毎日している。現実に関係業務を担当している中央省庁、自治体の職員ならその話しばかりだろう。
ということは、現実の進行が世間に潜在している期待に満たない場合には、政治・経済・社会の各側面で相当激しいバックラッシュが発生するだろう ― 戦略、戦術でミスをすれば強固にみえた日米の政権も夏が過ぎれば実質的に終わっているかもしれない。
社会的に、受け入れることは受け入れ、覚悟することは覚悟し、犠牲を総合的に最小化する合理的戦略を固める時期にそろそろさしかかっている、と観る。パンデミックの中で経済と暮らしの破綻を回避し、新型ウイルスとの戦いを進めるには、まずは犠牲の増大を覚悟しながらも、その最小化を図るのが公益につながる最適戦略である理屈だ。
ワクチンが開発されるまでは「緩やかな感染拡大」を致し方のない現象として受け入れることから、高齢者には厳しい局面が続くことになる。とはいえ、感染拡大は免疫の拡大でもある。「新型ウイルス」の登場は今後将来も予想されることだ。新型ウイルスに対して抗体を形成する能力は年齢と共に衰える。高齢者は何によらず「新型」に慣れにくいものなのだ。今回のようなステージは自然災害と同じく繰り返されるものだ。であるが故に、最適反応戦略は必ずある。公式の「お願い」、というか「行動指針」が要るだろう。
かなりの部分でこのように進んでいくのではないかと予想する。
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