2012年1月4日水曜日

先進国の景気後退 + 新興国の反転上昇 = ?

株式市場はアジアで株高スタートとなり、ニューヨークも急上昇。英独も上昇。昨年末の暗い見通しは何処に行ったかという明調子の年明けとなった。

株価は景気の先行指標である。先行指標とはいえ生産全般が上がりそうなときに株価が上がるわけではない。ほぼ確実に景気が上がると見込まれているときには、株価はすでにそれを織り込んでいる。株価が上がるのは、予想以上に明るいニュースが出てきた時だけだ。新聞報道によれば、中国で12月に発表された「製造業者購買担当者景気指数(PMI)」が2ヶ月ぶりに好不況の境目となる水準50を超えたこと、それとアメリカの製造業景況感指数(PMI)も2ヶ月連続で市場予想を上まったことなどが挙げられている。

昨年12月に公表されたOECDの景気動向指数をみておこう。まずOECD加盟国全体では下の図に見るように、はっきりとピークアウトして現在は景気後退期にある。



確かに最近予想を上回るいいニュースが出てきてはいるが、先進国の経済はピークアウトした後、とても近い内に底打ちする段階ではなさそうである。他方、OECD公表資料で個別国について確認すると、中国、インド、ブラジルなどの新興国の景気後退は、既にピークアウトしてから1年半程度が経過しており、自律的な反転上昇が期待できる時期に来ている。更に、政策当局のインフレ懸念も弱まっているので、新興国の経済にはこれから明るさが増していくだろう。

逆に、欧州紙で予想されているようにヨーロッパは、年明け早々に急降下が予想されているイタリア経済、銀行経営に不安が持たれているフランス経済の足取りに不安があり、年末近くになって底打ちの兆しがあるとされるドイツ経済もOECD指数を見るかぎり、早々に拡大軌道に復帰するとは感じられない。

アメリカも財政の現状をみれば、経済全体について、いま過大な期待をもつことは禁物である。一部にいいニュースがあったが、全体としてはそれほど景況がよいわけではない。むしろ、悪い。但し、アメリカでは国内経済のリストラが一歩先を行っており、最近は新規ベンチャー投資が再び増えてきている。これは何よりの強みである。成長分野を速やかに見出し、そこに資金を集中投入し、失った富の痛手を癒すというのは、ある種の経済的新陳代謝である。それが進んでいる。アメリカ経済は生きているのであり、彼の国の真の強靭さはこの辺にあると認識するべきだ。FRBが早々に第三次量的緩和(QE3)に追い込まれる可能性は(いまのところ)ない。

こうした中で、日本経済は大震災後の生産停滞、復興のジグザグ・ショックが混ざっているので循環成分の動きを読みにくい。読みにくいが、復興事業の本格化に伴って、前年比ベースではプラスの数字がこれから目立ってくるはずだ。

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