これに対して、日本の日経平均は、リーマン以後、基本的には下方トレンドをたどってきている ― とばかりは断言できないが、上昇トレンドからは早々に外れていることだけは明らかだ。
日本の株価は2010年の春からずっと低落している。この低落は大震災や原発事故のずっと前から始まっている。欧米の株価は2010年の春以降も上昇を続けた。その上昇から日本は脱落し、最近では欧州の株安の影響まで受けている。
ドイツのDAX指数をみると
ギリシアの国債危機が顕在化してユーロ危機が深刻化した中、ドイツの株価も急落しているが、それまでは順調に上昇トレンドにあった。ユーロ圏外から英国のFT指数をとると下の図のように下降に転じたのは概ねドイツと同じ昨夏である ― もっとも、それまでの上昇は緩やかになっていた。
そもそも上にあげた4カ国の株価グラフの左端と右端は同じ日付である。リーマン危機以前のピークと直近値の比を大雑把にとると、USが14000程度から12500程度だからピーク比9割、UKが6500程度から5500程度で85%というところ、ドイツは最近の欧州危機による急落をいれてもピーク比75%くらいだ。それに対して、日本は18000程度から8000程度に下がっているのでピーク比が45%!まだなお、半分以下の株価水準である。これは小生を含めて、一般の投資家の感覚に近いはずだ。年金改革などという前に、退職高齢者の金融資産を保全しようと努力することこそが、誠実な政策当局者がとるべき態度ではないのか。
確かに、大震災はあった。円高もあった。日銀は、円ベースでなくドルベースで株式資産を評価してくださいと、そういうかもしれない。しかし、自分の資産をドルで評価している日本人投資家は少ない。
なぜ先進国の中で、日本の株式だけが、かくも低迷しているのか?それほど日本経済の実態が海外に比べて一人負けしているのか。小生は、どう考えても、金融政策の基本スタンスに原因があるとしか思えない。少なくとも、なぜ日本の経済専門誌は、これほどの株価パフォーマンスの違いを正面から特集・議論しないのか不思議である。「それにはそうなるだけの理由があるのです」というなら、それを一緒に考えて、伝えるのが経済ジャーナリズムの役割ではないだろうか。政策の基本姿勢は、それがいかに専門家の領域であろうとも、それがもたらす効果が国民に受け入れられるのか、国民自身が検討してみる権利は常にあるし、何に増してもあると考えるのが民主主義社会である。病気の治療がいかに医師の専門領域であろうとも、どのような考え方で治療するかを決めるのは、医師ではなく病気になっている本人なのである。事情は同じである。
要するに
こういうことで、いいのですか?国民が選んだ結果であるのかどうか、言いたいことはこの点だ。
(注)上の株価グラフ作成では<世界の株価指数チャート:Chart Park>のお世話になった。感謝したい。またグラフ作成ではYahoo!Financeの機能を借用しているようだ。併せて感謝したい。
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