2019年4月24日水曜日

一言メモ: 親の願望と社会の現実とのギャップ

こんな報道があるのをネットで知った:

リスクモンスターが4月22日に発表した「お子さん/お孫さんに勤めてほしい企業調査」に注目が集まっている。1位と2位はそれぞれ国家公務員と地方公務員で、ランキングの集計の公務員を追加した3年前の調査以来、順位の入れ替えはあるもののトップを独占し続けている。 
3位はトヨタ自動車。6年前の調査から、民間企業としては7回連続で1位だ。他の上位も、いわゆる大企業が名を連ねる傾向は変わらない。代わり映えしない「長い物に巻かれろ」的な結果に、ネットでは否定的な声が多く出ている。 
(中略) 
務めてほしい企業で重視するポイントは「給与額」、「社員を大切にする」、「福利厚生」、「将来性」、「雇用形態」が上位だった。父母世代は祖父母世代に比べ、「給与額」、「残業時間」など労働環境を重視する傾向が見られた一方で、祖父母は「将来性」、「社会的責任」、「企業規模」、「業績」など、企業のあり方を重視する傾向があった。

URL: http://news.livedoor.com/article/detail/16360865/

たとえば「2チャンネル」でも結構な話題になって甲論乙駁しているようだ。

確かにネエ…、資本主義国で親が願う希望就職先第1位が国家公務員、第2位が地方公務員とはネエ、小生も絶句、「情けなき事、落涙を禁じえず」ではあります。

もっと憐れを誘うのは、祖父ではなく両親の希望として「給与額」、「社員を大切にする」、「残業時間」等々、職場環境が優先事項として挙げられている点だ。

ここには、小さい会社を大きくする人材であってほしい、給与を倍増させる柱になってほしい、などなど、我が子に実績をあげられるような人になってほしいというのとは無縁の願望があからさまに表出されている。しかし、会社経営に資金を提供する投資家の観点にたてば、親が願望するタイプの企業にはまず投資はしないだろう。

従業員のために真っ先に給与をあげたり、社員の願いに耳を傾けたり、社員の厚生に真っ先に意を払ったりするというのは、「会社」というより「学校」に近い。

会社とは「顧客志向の原則」に立って、求められる財貨・サービスを生産して、その売り上げで「食っていく」組織である。浮世をしのいでいくのに必要な「食う寝るところ、住むところ」を確保する仕組みが会社であり、個人商店である。勝敗がつく経済的戦闘の当事者である。子供が生きていくのは「学びの場、稽古の場」ではなく「戦いの場、商いの場」である。「大切にされる」のではなく、「大切にする」のでなければ、保護してくれるその組織が競争に敗れて消え去るだろう。そうすれば「食う」に困る。困って親にもたれれば「8050」が再生産されるだけだろう。役所は企業が生み出す付加価値で支えられている存在でしかない。ライバルが走っていれば自分も走らされるのが浮世と言う世界だ

世の親が子に寄せる願望は非現実的なのである。何だか、いまの社会の実相には「空しさ」と「憐れ」がにじみ出ている。

小生も二人の愚息を育てたが、「大切にしてくれる会社を選べ」とは言わなかった。「やりがいのある所を選べ」としか言わなかった。まさか、そのやりがいのある仕事というのが、下の愚息にとっては「公務員」であるとは思わなかったが。上の愚息は食品業界で非正規の仕事をしている。こちらは「やりがい」というより、「楽しみ」を邪魔されないこと、それが優先事項であるように見受けられる。

まあ、小生は偏屈で変人だ。子供ファーストではなかったのだ、と。そう言われても仕方はない。しかし、もう一度、時間を巻き戻して、同じカットをもう一度迎えるとしても、やはり同じセリフを口にすると思う。

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