それでもテロや大災害で騒然となるよりは、余程、好いことには違いない。これが第一点。
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11時半に菅官房長官が「令和」の2文字を墨書した額を掲げたとき、小生の最初の印象は一部の人がネガティブな第一印象を述べているように「命令の令だなあ」というものだった。
『万葉集』に基づいたという選定理由はそれほどスッと頭に入ったわけではない ― 多くの人も同様だっただろう。
今回は漢籍に加えて日本の古典を専門とする人を選定作業に加えたという報道が流れた段階で、新しい元号は我が国の古典から選ぶのだろうという見当はアラアラでついていた。それでも(これも多くの専門家が述べているように)、多分、『日本書紀』か、それとも歴代の天皇の御歌か、もしくは和歌の秀作ではないかと思っていた。例えば大伴家持の「海ゆかばみずくかばね…」などは戦前の準国歌ともなっていた。あるいは時代を下って、本居宣長辺りの名句からか。そんな風に思いめぐらせていたのだ。まあ、こうして思い返すと、いい線は行っていたのだろう。
何事も予測のトレーニングは役に立つものだ。
それにしても「司令官の令」、「命令の令」とはネエ・・・という感覚がまずあったのは事実だ。
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しかし、日本の漢字は意味解釈が重層的で複雑である。読み方すらも、呉音、漢音、唐音と複数ある。
「令和」の令は、「ご令室」、「ご令嬢」、「ご令兄」の令であることにやがて思い至った。
「令」の元来の意味は「神の思し召し」というニュアンスであるらしい。となれば、「神意にそった和を」という意味にもなるか……。と、こう考えれば、神社に毎正月初詣する日本人の感覚が現れた国風の元号であるとも言える。
簡単にいえば「うるわしき和」という理解でいいのだろうと、まあ、人間の慣れというのは便利なものである。
もちろん元々の意味は、初春の令月(=二月)に咲く花を愛でる叙景的な感動から発するものである。
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