新コロナ型ウイルスは軽症が8割、重症が2割というのがザクッとした内訳である。
ところが、日本では重症患者が海外に比べて非常に少ない点が際立っている。この点に着目して『BCG接種など何らかの理由で日本では軽症ですむ確率が高いのではないか』と語る人も増えている。
厚生労働省が公表している4月11日18時現在のデータを引用すると以下の通り(クルーズ船を含む):
PCR検査陽性者=7420人
うち退院者数=1428人、 死亡者数=110人
感染者は、治癒して免疫を獲得するか、死亡するかのいずれかである。軽症、中等症、重症、重篤は途中経過の段階である。退院者を治癒した患者数とみなしたうえで、結果の確定した退院者と死亡者を合計して死亡率を求めると
110÷(1428+110)=0.072となり、日本国内の死亡率は7.2パーセントになる。
『軽症以外の2割は助からない』というのは言い過ぎだが、退院できるか死亡するかを分ける7.2パーセントは決して低い数字ではないのではないか。重症化した時の条件付き死亡率は、ザックリ、36パーセント(=7.2÷20)ということでもある。重症化して命は助かったけれど肺の機能損傷により酸素ボンベがなければ歩けなくなる人も多数発生するに違いない。そうなると仕事を続けるのは無理である。そしてどんな体質の人が重症化するかというのは全く分からないのだ。高齢者、糖尿病、高血圧、その他持病がハイリスク要因だとは言われているが詳細は分からない。情報がないので怖い。誰もがそう感じるのではないか。
【加筆2020/04/14】 ちなみにJohns HopkinsのCovid-19 Dashboardで世界全体をみるとTotal Deathsが119588人、Total Recoveredが448998人であるので、
119588÷(119588+448998) = 0.210つまり結果ベースの死亡率は21パーセントになる。最初に引用した「重症化率20パーセント」という概数と一致するが概念的には違いがある。
が、少なくとも『日本では重症患者は少なく、一方で陽性確認されていない無症状感染者、軽症感染者が潜在的に多数いるという可能性を考えると、それほど怖れるほどの感染症ではないのではないか』という見方は、(現段階の)数字を見る限り楽天的、"too optimistic"だろう。
死亡率を1から引けば「救命率」になる。救命率の理想は言うまでもなく100パーセントである。この「救命率」を可能な限り最大化する。医療現場を正常化するとはそういう事だろう。ここで『季節性インフルエンザ並みの救命率でよいのではないか?』、『救命率を99.9パーセントにするにはカネがかかり過ぎる』等々、こういう見解が当然ながら出てくるだろう。それは医療の問題ではなく、更には経済学で解ける問題でもなく、社会的価値観が決める問題だ。つまり政治家が結論をだすべき事柄である。
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