2021年1月6日水曜日

ホンノ一言: 「短期集中で結果を出す」作戦を好む日本人の悪癖

どうもコロナ関連の投稿がまた増えそうだ。 

また日本人の国民性の悪い面が露見している印象だ。

いうまでもなく「新型コロナ」の感染抑え込みである。

以前にこんな投稿をしたことがある:

少数の人が匠の技を披露することも鮮やかで見栄えがするが、平均的な人でも結果を出せるように資源を整えておくことが何事によらず勝利の方程式である。カギは補給にある。日本は民族的通弊として<補給>を軽視しがちだ。長期戦、泥沼戦を嫌悪し、技に頼った速戦即決を好むが故の弱点である。

今回の失敗から得られる教訓は

   備えあれば憂いなし

まさにこの一語に尽きるのではないだろうか。

***

思い切った作戦をとって、短期集中で感染ゼロ近くまでもっていこうという主張を、この何日かで一体何度、民放TVの情報番組で耳にしていることだろう。

そういえば、昭和10年代にも「中国一撃論」という戦略を陸軍参謀本部だか陸軍省だかの高級軍人が唱えていた。それで始まったのが「日華事変」である。最初は単なる「変」でおさめるつもりが、案に相違して中国が頑強なものだから、戦闘がおさまらなくなり、以後「日中戦争」の泥沼になって、日本は終着点を見失ってしまった。とどの詰まりに、太平洋戦争を始めてしまい、最後は、空襲・原爆・敗戦という結末になった。

最初から誰もが言っている事だが、新型コロナとの戦いは《ざっと1年、おそらく2年、長くて3年》というものだろう。ワクチンが浸透しても、元の日常が戻るのに4、5年はかかるという人もいる。

新型コロナとの戦いは、「短期決戦」は無理であり、「持久戦」、「消耗戦」になるのは、小生、必至だろうと思う。

故に、いま必要なことは『思い切った政策を断行してコロナをまず抑え込む』という速戦即決の政策思想ではなく、『生活を続けながら長い非日常的な日々を戦い抜く体制づくり』である。

短期集中の「総攻撃」を二度、三度と繰り返すうちに、犠牲が余りに大きくなり、ついに自滅・自壊する愚を犯した旧・日本軍の真似を繰り返すのは愚の二乗というものだ。明日を信じて「万歳突撃」するなど真っ平だ。

***

「行動変容」を真っ先に求めるなどは、国民に勇敢さを求める政治家と何も変わるところがない。無能の証しである。必要なのは「勇気」とか「マナー」ではない。インフラとシステムである。政治家はそのために汗をかかなければならない。メッセージが時にあればもっとよいが、まあ無くともよい。戦う基盤が整えばそれでよいのだ。

この程度のロジックは社会的関心のある高校生なら分かっているのではないだろうか? おそらく、マスメディアは「ここから先は言わないでくれ」と上層部から指示があるのだろうし、政治家、高級官僚は(単に)仕事をしていないだけなのだろう。

***

思い切った作戦をとる。しばらく我慢してくれ……、この無責任さは昭和10年代のわが帝国陸軍の高級軍人と同じである。

「短期で終わらせられるエビデンス」もなく、短期であると予想(希望?)するが故に(多大な労苦を要する)根本的システム作りに乗り出すこともせず、「すぐに結果を出そう」と大口をたたいて主張するのは、呆れるほどの無責任だ。

0 件のコメント: