COVID-19に関連して久しぶりの投稿。
いうまでもなく、コロナ・ウィルスは万国共通で、どの国という国の違いはウイルスにとっては何もわかっちゃいないし、どうでもよいことだ。それでも国によって感染動向に違いが出るのは、それぞれの国の国民や政府が違ったことをするからだ。(ファクターXなどという言葉もあるが)因果関係は基本的にはこうだろう。
イギリスで感染者数が再び増加の傾向にあり、こんな記事が出るに至っている。
キングス・カレッジ・ロンドンのティム・スペクター教授(遺伝疫学)は制限解除について、「ワクチン接種と自然免疫によって、早々に勝利できると期待して行われた」と語る。「それだけではうまくいかないということが分かった」
英政府は20日、ワクチンを主な対策とする戦略を強化する一方、一部の医師や科学者が必要性を指摘しているマスク着用の義務化やワクチン接種証明などの措置に関しては、導入する必要は今のところないと述べた。
(中略)
ボリス・ジョンソン首相は英国の「免疫の壁」がウイルスを制御すると見込んでいた。ある程度までは、その通りになった。英国では夏の間、感染者が目立って急増することはなかった。ただ、感染レベルが大きく下がることもなく、8月から9月にかけては1日あたり2万5000~4万人で一進一退が続いた。
ここに来て、感染は再び増加している。21日の新規感染者数は7月以来初めて5万人を超え、先週の感染者数は前週比18%増となった。
Source: Wall Street Journal(日本語版)、 2021 年 10 月 23 日 03:42 JST
イギリスはワクチン接種率の上昇を根拠に早々に行動規制を撤廃するというギャンブル(?)に打って出たものの、デルタ株に関してはたとえ接種率が90%を超えても集団免疫にまでは至らないと専門家は警告を発していた。とはいえ、ワクチンを接種すれば、重症化、死亡等のリスクは格段に小さくなるということも明らかになってきた。
どうやらイギリスは、1日5万人の感染者が出て来てはいるが、行動規制撤廃の方針は変更しない構えである。確かに、ワクチン接種数の増加、未接種者数の減少、治療薬の登場が続く中、むしろ感染するなら感染して、
最大多数の人々が最大数のコロナ抗体を保有する
ワクチンであれ、実際に感染するのであれ、こんな社会状況に至るのであれば、感染拡大も正に「天のなせる計らい」であって、社会が均衡するまでの道のりにすぎない。こんな視点も明らかにある。
さすがに「功利主義」発祥の地・イギリスである。悪く言えば、結果良ければ全て良し、という政策思想に近い。が、もしワクチンを義務化しないのであれば、イギリス流のアプローチが正しいスタンスと言ってもよいと小生は考えているわけで、英政府の思考には論理が通っている。
他方、アメリカのリベラル派経済学者として著名なポール・クルーグマンはThe New York Timesのコラムで以下のように書いている。抜粋して下に引用しておこう:
But the biggest thing that could bring fast relief would be undoing the skew in demand by making people feel safe buying more services and fewer goods. The way to do that is by getting the pandemic under control, above all by getting more people vaccinated.
And how can we get more people vaccinated? Mandates. No need to spend time here rebutting claims that requiring workers or customers to be vaccinated is an assault on liberty: Sorry, but freedom doesn’t mean having the right to expose other people to a potentially deadly disease. At this point we can also dismiss claims that requiring vaccination will disrupt the economy: While many people told pollsters that they would quit rather than take their shots, in practice employers that have required vaccination have experienced only a handful of resignations.
In other words, what our economy needs now is a shot in the arm — or rather, millions of shots in millions of arms. And vaccine mandates will provide those shots, in addition to saving lives.
URL: https://www.nytimes.com/2021/10/19/opinion/vaccine-mandates-us-ports-supply-chain.html
Source: Tne New York Times, Oct. 19, 2021
コラム記事のテーマはワクチン接種それ自体ではなく、米国内でサプライチェーンの渋滞が発生しているということである。その主因としては、調理器具、健康保健器具などの耐久消費財購入が激増していることが挙げられる。つまり需要急増に物流機能が対応できずにいるのだ。
実際、以下の図が記事の中で示されている。米国・セントルイス連銀が運営するFREDが作成している。
公金をつかって割り引いてくれるのは有難いけれど、何らかの《衛生証明書》の提示義務付けくらいやったらどうなんですか? しないんですか? エッ、しない、それはなぜ?
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