2022年6月15日水曜日

ホンノ一言: どうせ同じ結果になるなら・・・という割り切りが必要なとき?

アメリカの中央銀行当局FRBが世界的インフレに賢明に対応できるかどうかで議論が続いてきたが、どうやら当局自身が政策判断のミスを認め始めてきているようだ。

ウォール・ストリート・ジャーナルには

パウエルFRB議長 OLIVIER DOULIERY/AFP/GETTY IMAGES

バイデン米政権関係者や連邦準備制度理事会(FRB)高官は、インフレへの対応を誤ったと公の場で認めている。 

この失敗の背後には、経済を誤って解釈したことがある。 

URL: https://jp.wsj.com/articles/how-the-fed-and-the-biden-administration-got-inflation-wrong-11655178437

Source:WSJ、2022年6月14日

Author:Nick Timiraos and Jon Hilsenrath

The New York Timesの別記事からはこんな予測の形成されつつあることが伝わってくる。

A second stage to the market’s downturn is likely still to come, Ms. Shah said. Stocks could fall further as evidence of the economic trouble appears in corporate earnings, consumer spending and other data that show that the worst expectations for the economy are being realized. The new wave of selling may not happen until closer to the end of this year.

 URL:https://www.nytimes.com/2022/06/13/business/stocks-bonds-crypto.html

Source:NYT、June 13, June 13, 2022

Author:Mohammed Hadi and Jeanna Smialek

企業利益の減少、消費支出の減退が明らかになるにつれて株価は一層下落していくであろう。こんな予想が形成され始めている。リベラルなクルーグマンやサマーズよりかなりペシミスティックである。期待インフレの高まりはまだ見られないかもしれないが、不況が予測されるようになった。短期金利が長期金利を超える逆イールド現象も見られ始めた。どうも最悪の展開となる確率が高まってきた。

やっぱり、ダメだったか・・・というところだ。

少し以前にこんな投稿をしている。

1992年の大統領選挙で共和党のブッシュ大統領が民主党のクリントン候補に敗れたのは、選挙当時の経済的苦境が大統領の足を引っ張ったからだが、それは何もブッシュ大統領の責任ではなく、ある意味で世界経済の"Boom and Bust"に巻き込まれた点で運命的な敗北だった。同じように、この秋の中間選挙で民主党が負けるとすれば、それも運命的なものだろう。いま何をしても、やって来るのはインフレ加速か、不況かが変わるだけで、同じことなのである。

同じ結果が待っているなら、国民経済がより痛まない方を選ぶべきだろう。

やって来るのは<不況>か、<インフレ加速>か、そのどちらかになりそうだ。どうも<ソフト・ランディング>という理想のシナリオ通りには出来なかった模様である。

どちらに振れても選挙では敗北要因だ。となると、どうせ負けるなら(繰り返しだが)より混乱の少ない方を採るべきだ。対中外交戦略もあるのでどちらを採るか難しいところだ。

インフレを加速させてしまえば1970年代から80年代にかけての苦闘の10年間が思い出される。インフレを叩き過ぎれば、バブル崩壊後の日本のようになるかもしれない。難しい。だから経済運営の名手は『マエストロ』と敬称されるのである。

経済運営のマエストロと協調しながら国際外交戦略を進めるのは政治の名人だけである。

岸田政権は選挙戦略を要領よくやっているような印象だが、バイデン政権は泥沼の中で秋の中間選挙を迎えそうだ。これもその人のめぐり合わせというものか、はたまた自業自得というものなのか。

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