2023年5月18日木曜日

ホンノ一言: 実質GDPの年率1.6%増ってホントに?

実質GDPの四半期系列の動向については、何度か投稿した記憶があるが、GDP系列の推計手法そのものから四半期パターンには無理な皺寄せが混じっている。故に、年次系列はともかく、四半期系列の動きは小生は信用していない。

特に、景気判断に利用されている《実質季調済前期比》だが、四半期原系列に既に無理な皺寄せが混在しているうえに期間全体の四半期ごとの動向から季節成分を算定しているので、結果として得られる季調済系列の前期比は時に不可思議な動きをする。

例えば昨年の7~9月期にもGDP速報が変な挙動をしていたので、同時期の景気動向指数と比較をしても、「これは変だ」と指摘したことがある。

それで、今回の1~3月期の季調済前期比だが、年率1.6%に達した。これほどの急回復をしたか?そう感じた次第。

これほどの急回復をした背景としては、消費の急拡大、民間投資の回復などが挙げられており、富裕層が高額商品を購入するようになったなど、色々と紹介されているが、どうも眉唾ものである。世界では景気後退が年初から懸念されているのだ。

そこで、複数の主要経済指標の動きを集計することで作成されている(同じ内閣府の)景気動向指数を四半期に集計した数値をグラフにしてみた。



グラフは景気動向指数の指数値そのものではなく前期差を描いている。GDPは足元の活動実績であるから、景気動向指数の一致系列に対応している。

これを見ると、やはり昨年の10~12月期から本年の1~3月期にかけて一致系列は前期差でマイナスになっていて、景気の減速を示唆している ― 4~6月期に入ってからは東京株式市場も(コロナ禍終了が強材料になったのか)俄かに明るくなり、ひょっとすると先行系列も前期差でプラスに転じるかもしれない。とはいえ、生産、販売全般を伝える一致系列がどうなるかは分からない、というのがマクロ景気の現状を素直にみる見方ではないだろうか。


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