本ブログの投稿数からも推察されるように、小生の関心分野に<宗教>がある。経済や統計と同程度に関心がある。21世紀は「宗教の時代」になる可能性があると同僚と語ったことも書いたことがある。具体的には、寺院経営、霊園経営、学校・幼稚園経営などの「宗教ビジネス」、平安時代の日本を舞台にした源氏物語にも登場するような住吉参詣や御八講といった個々人の<信仰>などが問題意識としてはあるわけだ。
だから昨年夏の安倍元首相暗殺事件のあと「旧・統一教会」の問題がにわかにクローズアップされた時にも、その時々で思ったことを何回か投稿してきた。
信仰を 責むるにあらず 信仰の
中身が悪しと 責むるなりけり
こんな狂歌を投稿したこともある。まったく、今の中国社会でやっている「福一核汚染水放出非難」もそうだが、同じように日本社会も変な方向へ走り出すことは稀な事ではない。アメリカでもずっと前にはマッカーシー議員が旗を振った「赤狩り」が社会で蔓延したし、近くはイラクのサダム・フセイン大統領が"Weapons for Mass Destruction"、つまり「大量破壊兵器」を隠し持っているというのでアメリカ主導の有志国連合軍が先制攻撃をかけた。後から精査すると、これもヌレギヌであった。
大衆の狂乱をストップできるのは賢明な「君主」、ないしは「元老院」のような貴族階級の意志のみである、というのは常に当てはまる認識であるかもしれない。
マ、極めて非民主主義的な認識である……
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Diamond Onlineにこんな書きだしの記事が載っている:
…日本全国にある宗教団体である。
近い将来、宗教団体に入信していた人が「だまされた」と訴えるだけで、これまで払った献金を過去にさかのぼって、簡単に取り戻せるような法整備がなされるかもしれない。今の「過払い金返還請求」のように、弁護士事務所で簡単な打ち合わせをして、事務員がマニュアルに沿って事務手続きをするだけで、献金やお布施が戻ってくる――。
もしこんな未来になったら、弁護士業界はウハウハだ…
何を根拠にそんな予想をするのかというと、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への解散請求がいよいよ秒読みになってきたからだ。
結論部分はこうなっている:
旧統一教会の解散請求をして、宗教法人格をはく奪したところで、税制上の優遇を受けられなくなるだけで、信者の多くは「じゃあカトリックに改宗するか」なんてことにはならない。活動が地下に潜るだけなので、被害者救済も難しくなるなどデメリットも多い。… …
弁護士業界は再び「過払い献金バブル」到来でうれしいかもしれないが、多くの宗教団体は経営難に追いやられるので、自主的に解散するところも出てくるだろう。しかし、神や仏に救い求める人たちは必ず存在するので、「新たな受け皿」として、「ヤミ宗教」が横行するかもしれない。宗教法人格を持たないので、行政や自治体のチェックも働かない。高額献金も霊感商法もやりたい放題だし、マルチ商法などとかけ合わせることも可能だ。
暴力団を使用者責任で規制したら、盃を受けない半グレが増えて結果、警察が把握しにくい「かたぎを利用した地下ビジネス」が広まったのと同じ構図が、宗教界でも起きるかもしれない。
Source: DIAMOND online
Date: 2023.9.7 5:30
Author: 窪田順生
URL: https://diamond.jp/articles/-/328792
「弁護士」、というより「法曹専門職」を愚弄するにも程があるという反論は予想できるが、現実問題として事態がこのように進展していく確率は高いのではないか、と。小生の予想とも共通する部分があるので覚え書きにしておく次第。
日本社会は、ともすれば
玄関前のゴミを物置や家の裏側に移動して一先ず安心する
何だかダチョウのような「お気楽さ」、というか「呑気さ」、というか言うに言われぬ「無責任さ」があるとずっと感じてきたのだが、これも本当のダチョウには大変失礼な話かもしれない。
宗教トラブルがあれば、指導する権限を政府に与えるのではなく、とりあえずその宗教団体を解散させて消してしまえば、報道されることもなくなって、日本社会は安心する。これでイイんですかというのは、大変、理に適った話だ。
Black Marketがあるのはどこの先進国も同じであるが、これが巨大化すると”Underground Economy"が例えばイタリアのようにGDPの20%前後にも達することがある(ここを参照)。こんな状況になれば、政府の経済見通しも意味がなくなるわけである。「地下経済」、つまりundergroundであるから(普通の?)マスコミの取材は困難であるし、報道されることもない。表面的には「安心社会」であるが、社会の表層と低層が食い違っているという「非条理の意識」は逆に高まることになろう。
でもまあ、日本の歴史を振り返ると、二元政府的であった鎌倉時代もそもそも変な社会であったし、江戸幕府も理屈を考えると正統性という点で疑問があった。だから倒れるべき時にはサッサと倒れた。こんな認識もあるから、非条理だからと言ってそんな社会になるはずはない、という議論にはならない。
マ、個人的にはある程度の厚みをもった「裏社会」がある方が、善人、悪人、全ての人に居場所を与え、より多くの人により多くの幸福を約束できると考えている。『清濁併せ飲む』という格言は決して色あせてはいないのだ。なので、非公式の宗教団体や互助組織が報道されないまま、モニターされないままに、数多く生まれ、カネの地下水脈が広がる事態は、政府による一律の公的福祉を補完し、むしろ助かる人が増えるのではないかと予想している ― 税源が侵食され、脱税の温床になるので政府は絶対に認めるはずのない見方だろうが。
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