2013年9月20日金曜日

「東海」でも「日本海」でも使いたい方を使って損をするのか

こんな事がニュースになるのか?正直、小生、そう思ってしまった。
【ワシントン=今井隆】米メリーランド州アンアランデル郡の教育委員会が、日本海の名称を巡り、韓国が主張している「東海トンヘ」を合わせて教えるよう、郡内の公立学校の教員に文書で指示していたことが19日、分かった。
在ニューヨーク日本総領事館は「日本海が国際的に確立した唯一の名称」だとして、「東海」の呼称を使用しないよう申し入れたが、委員会側は撤回しない意向を示しているという。
日米関係筋によると、こうした事例が発覚するのは米国では初めて。在米韓国人団体は各地の教育委員会などに「東海」の呼称を採用するよう働きかけを強めているとされ、同様の動きが広がるおそれもある。
(出所)読売新聞、2013年9月19日 
どうでもいいっしょ…、そう思うなあ。台湾やフィリピン、東南アジアからみれば「東海」ではなく「北海」になるわけであり、それぞれの国がつけたい名前を挙げれば、色々な呼び方が出てくるだろう。名前の付け方によって、現存する日本海の形や色が変わるわけではなく、資源賦存量が増減するわけでもない。仮に、韓国の「働きかけ」が功を奏して、「東海」が「確立した名称」、というか「正式名称」になるとしても、日本人が日本語で「日本海」といいたければ、そう呼び続ける自由はあるわけである。

大体、ドイツ人は自国のことを"Deutschland"と称しているが、米英人はドイツのことをもちろん"Germany"という。フランス人は "Allemagne"(アルマーニュ)と呼んでいる。ゲルマン民族のアレマニ族に発する呼称だろうと小生は推測しているが、英語ではチュートンという呼び名もあり、こちらはテウトニ族が語源だろう。小生も専門ではないので、この辺の言葉の由来については、しかとは分からない。要するに、みんな呼びたいように慣習にそって呼んでいるのであって、汗水たらしてこの現実を変更しようとする人為的な努力は非生産的で下らない。小生にはそう感じられるのだ、な。

そもそも韓国のいうとおり「日本海」を「東海」と改名するとしても、英語の地図には漢字を使わない、ましてハングル文字は使わないだろう。書くとすれば、”Tong He"とでもして韓音で英語表記するのか、しかし漢字は中国人が発明した文字だ。中国人が「この文字はTong Khaiと発音するのが正しい」と主張すれば、中国音を覆すのは難しかろう。

となると、"East Sea"と英名で表記するか。まあ、小生は英語でそう呼びたい人は英語でそう呼んだらいいというのが意見だが、英語で"Sea of Japan"を"East Sea"と改名するとなると、音だけでなく意味も付いてくるので、異論反論が多く出されるであろうなあと、人ごとながら心配だ。紆余曲折の果て、"Sea of East Asia"などはどうかと逆に提案されるかもしれない。ま、英語の地図だけであろう、使われるのは。韓国も「東亜海」とは書かないだろうし、呼び方は"Ton He"のままで変わるまい。日本では「日本海」のままであろう。英訳すれば"Sea of Japan"でこれも変わらぬ。大体、日本で「東海」といえば、「日本海」とは反対側の地方をさす – 方角からして当たり前のことだ。

もう一つの類似例は、ドーバー海峡南方の"The English Channel"(イギリス海峡)だろう。なぜ"English"なのか。英国人には当然だろうが、たとえば海洋にかけては先輩格のスペイン人は"El canal de la Mancha"という名称をつけている。英語を第一外国語で習っているから"The English Channel"が正式名称、というか「確立した名称」だと思ってしまいがちだが、別に英語が正統で、その他言語が卑語であるわけではない。

本当に、細かくて、実質のない"empty"なことを今日は書いた。

名前にこだわるのは、名を正し、実態をあるべき姿になおし、倫理を全うして、宇宙と調和しようという儒学思想『正名論』に由来しているとみる。国家が支援すると国粋主義に転じやすい。学問的には、しかし、中世スコラ神学に相当するもので非科学的な信念にすぎない。

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