2013年9月24日火曜日

ドイツの与党勝利をこんな風にみる目線もあるか

旭川で研修を受けてきた愚息が今度は東京に移るというので今日は宅にやってきた。近くの温泉街にあるホテルで昼食をとってまた家に戻り、モヒートを飲みながら午後3時頃まで寛いだ後、今日は後輩と飲み会があるというので隣のS市まで戻って行った。明日の飛行機で東京へ発つ予定とのこと。東京で更なる研修をうけた後、年明けには勤務に就くので、当分の間、愚息と食事をする機会は随分と減ることになろう。

家族から世界へ目を向けると……、ドイツでは与党が大勝利をおさめ、メルケル政権は3期12年の長期政権となる見込みとなった。過剰債務のギリシアではドイツ国旗を燃やされる程に嫌われているが、ドイツ国内ではぶれることのないメ首相が圧倒的に支持されている模様だ。

その情勢について日経には以下のような論調の記事が載った。
例えばイスラム系移民がドイツ社会に溶け込めないでいる問題については、「移民側の努力不足」という論理がまかり通り、異文化に非寛容で閉鎖的なドイツ社会の改善には本腰を入れないだろう。 「ドイツの価値観」を絶対視するため、エネルギー政策や財政政策で溝のある日本との関係強化は困難が伴う。すでに日独関係は大きく冷え込み、ドイツはアジア外交で中国重視にかじを切った。
(出所)日本経済新聞、2013年9月23日 
おい、おい…と。「異文化に非寛容で閉鎖的なドイツ」とはいうが、たとえば「ドイツ 労働力 移民」で検索をかけると早速こんな資料がかかってくるのである。
ちなみに、国連が実施した「人口維持のための移民受け入れ」のモデル計算によれば、ドイツの場合、64歳以上人口の15~64歳の年齢層に対する比率を現状で維持するためには、年間約340万人の移民の受け入れが必要という結果が出ている。このことは、95年から2050年までの間にドイツは、現在の2倍に相当する約1,900万人の移民を受け入れなければならないということを意味する。
(出所)ドイツの人口問題と移民政策 
現在の2倍に相当する受入数が1900万人だから、これまでが950万人ということだ。ドイツは欧州最大の移民受け入れ国である。もちろん、その背景は経済規模の拡大があるわけであり、何も慈善事業で受け入れているわけではない―そんな慈善はそもそも非現実的だ。しかし、ともかく千万人という桁数で移民を受け入れて、なおかつ国としてのアイデンティティを保とうとすれば、移民側の順応努力を求めることが、国家の政策として間違っているだろうか。小生は、どうしてもそう感じてしまうのだな。 ちなみに日本の移民事情について、たとえばWIkipediaを調べると以下の文章にであう。
ブルーカラーの労働環境の改善や日本で就職難が深刻化するに伴い人手不足は徐々に解消に向かうが、外国人労働者の増加は2007年頃まで続き、2007年の時点で日本には約100万人の来日外国人労働者が在留。その家族や特別永住者等を含めると200万人の在留外国人がおり、日本に定住・永住する者も増えている。(出所)Wikipedia「移民」
「移民側の努力不足という論理」は、確かに日本でまかり通ってはいないが、それは日本ではハナから移民が受け入れられていないからだというのが主たる理由であろう。

移民を受け入れる時に、日本は「A級戦犯」や「靖国神社」、「戦争慰安婦」や「侵略の定義」等々、いまなお近隣国と紛糾している問題について、どんな考え方を国家の姿勢とするのだろうか。まさか靖国神社や遊就館をそのままの姿に「日本社会への順応政策」の基盤とするのだろうか。ちょっとそれは難しいと小生は感じるのだ、な。

日本の大新聞がドイツを指して「非寛容で閉鎖的だ」というのは「どのツラをさげて言うか」と怒られるような気がしないでもない。

割り切るほうがよいと思う。日本とドイツは、世界市場において製造業の顧客を奪い合う競合関係にある。中国市場で日本が退潮しドイツは浸透しつつある。ヨーロッパ市場で日本企業が攻勢に出れば損失を被るのは主にドイツである。もし経済的利害関係で対立することが関係強化の障害になるのだとすれば、1960年代以降アメリカ市場に攻撃的マーケティングを展開した日本はアメリカと外交的に対立し― 確かに日米貿易摩擦が発生した ―関係強化に困難が発生し、ひいては日米安全保障体制にも亀裂が入っていたはずではないか。日経の記事は、ドイツにはタフ・コミットメントだが、フランス(またアメリカ)に対してはソフト・コミットメント、合計すればプラスの戦略的効果を見込める意見だと言うことか。

いずれにしても、上の日経、読んで奇妙に引っかかりを覚える記事でありました。

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